鳥貴族の“新業態”が失速。大手チェーンが抱える深刻な課題
株式会社鳥貴族ホールディングスが、2021年8月にオープンしたハンバーガーショップ「トリキバーガー」が早くも苦戦しています。2023年7月期第2四半期において、当初想定していた収益性が得られないことから、店舗設備の固定資産1億5100万円の減損損失を計上したのです。
「『TORIKI BURGER』は、国内外1000店舗展開を本気で目指しています。」というトリキバーガー店長募集の求人広告に掲げられた夢は、遥か彼方に遠のきました。
トリキバーガーの1号店は大井町にオープンしました。鶏肉だけでなく、野菜やバンズ、ソースに至るまですべて国産。国産品にこだわるチキンバーガーが最大のセールスポイントでした。
大手居酒屋企業がオープンしたハンバーガーショップとして話題を集め、当初は人気を博します。2022年3月には2号店となる渋谷井の頭通り店がオープンしました。
しかし、大手町店は時間の経過とともに人気が薄れ、渋谷店はスタート直後から振るいませんでした。
鳥貴族はコロナ禍を迎える前からハンバーガーショップに目をつけていました。大倉忠司社長が海外視察した際、アメリカのチキンバーガー人気を目の当たりにしていたためです。
その後、新型コロナウイルス感染拡大で宴会需要が消失。居酒屋店が危機を迎えると、コロナ禍に強い業態の立ち上げに迫られ、ハンバーガーショップ構想を具体化しました。
鳥貴族621店舗(2023年1月末時点)のうち、およそ4割はフランチャイズ加盟店です。経営陣が最も恐れているのは加盟店の離反。居酒屋で稼げなくなったパートナーに、ハンバーガーショップという新たな道を切り開く狙いがありました。
当初は大きな話題を呼んだが…
なぜハンバーガーに目をつけたのか
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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