「170cm以下の男は人権ない」発言で燃えた“たぬかな”。壮絶な誹謗中傷、祖母のたい焼き屋は閉店…炎上から学んだこと
’22年に発生した炎上事件は1570件(『デジタル・クライシス白書2023』より)。一日平均4.3件。今日もどこかで誰かが燃えている。特に、回転寿司チェーン「スシロー」での迷惑動画がSNSで拡散されたことが記憶に新しいが、犯人の個人情報を晒し、実家や所属先にまで社会的損害を与える“制裁”は、いきすぎた正義ではなかろうか。更生の余地すら与えない現代デジタル社会の闇、あなたの正義感は果たして正しいのか、今、試される――。
2022年2月、ゲーム配信中に「身長170㎝以下の男には人権がない」という発言が拡散され炎上。プロeスポーツチームとの契約を解除された元プロゲーマーのたぬかな氏。
過激かつ差別的な発言は決して容認されるものではないだろう。舌禍が招いた壮絶な誹謗中傷、祖母の家にまで及んだ嫌がらせ……「自殺していてもおかしくなかった」と語る騒動の真相を本人に聞いた。
――炎上は、どんな心境で受け止めていましたか?
たぬかな:その場の怒りに任せた発言で傷つけてしまった人がいるのは事実で、それについては深く反省しています。ただ、発言した当時、配信を視聴していたのは30人程度で、ここまで大ごとになるとは思っていなかった。
そこから発言の切り抜きが拡散されるとツイッターのインプレッション数(表示回数)は3日間で1億3000万回にも達して、「死ね!」などの罵詈雑言が毎日山のように届いていましたね。
さらに、私の発言をインフルエンサーにリークしたのが同業の女性プロゲーマーだったんです。私より先輩で、私を蹴落とすチャンスを窺っていたのかなと。それを知り、人間不信にも陥りました。
――炎上の影響は、周囲にも及んだとか?
たぬかな:実家の電話番号がネットに晒されて、祖母の営むたい焼き屋にまで「謝罪しろ」と嫌がらせの電話がかかってきたようです。店のレビューも「ゴミカスのお孫さんを持って大変ですね」「まずい」などと荒され、ほかの事情も重なって、結果的に閉店することになりました。
「自殺していてもおかしくなかった」と語る騒動の真相とは?
周囲にも及んだ炎上の影響
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