ロシアとウクライナの“即時停戦”を求める、日本国内の声に感じる違和感
今、停戦して喜ぶのはロシアのプーチン大統領
— 伊勢崎賢治 (@isezakikenji) April 5, 2023「今こそ停戦を」という声明は善意に基づくものだろうが、ウクライナの人々の多くは支持しないだろうし、筆者自身も賛同できない。さまざまな論点があるだろうが、大きく二つに分けると、まず、第一にタイミングが最悪だ。 呼びかけ人たちによれば、来月の広島県で開催されるG7サミットに向けて声明を発表、署名やクラファンを開始したとのこと。しかし今「即時停戦」を求めているのは、ロシアのプーチン大統領その人だろう。なぜならこの間、ロシア軍が総力をあげて行ってきたウクライナ東部攻略戦が失敗に終わりつつあるからだ。 筆者は今年2月、ウクライナ東部の都市で同国最激戦地のバフムトを取材したが、同市はロシア軍の猛攻にもかかわらず本稿執筆の現在も陥落していない。仮にバフムトを陥落させたとしても、その周囲の防衛ラインは厚く、ロシア側が当面のゴールとしていた東部の重要都市クラマトルスクを奪うことなど、およそ実現しない状況だ。そのため、ロシア軍は無理に進軍するよりも、現在占領している地域を死守することに重きを置き始めている。 他方、ウクライナ軍は欧米から戦車等を供与され、これから反転攻勢に出ようというところだ。だが、もし今「即時停戦」の国際的な論議が持ち上がれば、ロシア側としては現時点での占領地を固定化でき、なおかつ「我々は平和を望んでいるのに、ウクライナ側は好戦的だ」と、ウクライナ軍の反転攻勢をけん制することができるという訳だ。
ウクライナの人々がロシアへの妥協を拒む理由
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