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投資のプロが買った8銘柄を公開。金融不安が高まる中での“正しい投資行動”とは

米国債券市場にみる“景気後退の指標”

アメリカ 金融危機

写真はイメージです

 株式市場は小さなトゲが刺さったような状態だ。  アメリカの金融機関2行に加え、ヨーロッパを代表する大銀行であったUBSが破綻したあと、市場は2008年の悪夢・リーマンショックの大暴落を思い出した。しかし、2023年の当局の動きは早かった。  金融危機はひとまず去ったが、コロナの3年間で膨れ上がったマネーの行き先は常に不安定だ。だから、金融不安は完全に払拭されたとは誰も思っていないだろう。  金融危機の後退から株価は上がっている。しかし、一方で金利市場は微妙な動きを見せる。  それは、もう何か月も、米国金利の債券市場で見せる逆イールドカーブ現象が続いていることだ。これは、債券市場での2年ものの金利が10年ものを上回ることを指す。これは、景気減退の先行指標と言われる。  次のアメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)は5月2日・3日の開催予定である。市場は金利が上がることは折り込んでいて、注目は金利が上がることよりも、むしろ会合のあとの会見でFRB議長のパウエル氏から、インフレ対策のために続けてきたた金利引き上げは打ち止めと示唆するコメントが出るかどうかにかかっている。  株式市場のアナリストも、今の上げ相場がこのまま続くと見る向きは少ない。どこかで調整が入るはずだと見ているのだ。  債券市場は景気減速の見通しをゆっくりと折り込んでいく傾向があるが、株式市場は上昇相場においては先取りしていくものの、下落する場合では、景気の減退がはっきりし、企業からの減益や赤字決算の発表があってやっと反応することが多い。そのため時に一気に下落することになる。  アメリカの金利上昇が打ち止めとなり、景気減速から年内に金利が下がるがることがはっきりすれば、今の株式相場もドル円の為替相場もトレンドが反転するだろう。円安と原油価格などの高騰により、記録的な貿易赤字になった日本経済であるが、世界的な景気後退と円高という流れになれば、日本国内の物価問題に目処が見えてくる可能性もある。  欧米の景気後退が短い間の軽微なものに終わればいいのだが、深刻なものになれば、欧米の金融機関は果たして信頼できるのかという金融不安も再浮上するかもしれない。

いまできる“投資行動”は何か?

 つまり、株式市場に投資するものとしては、目先の上昇相場で利益を確保しつつも、年内にもあるであろう調整局面での投資資金も確保していかなくてはならない。株式相場で成功するには、まずは安く買って高く売ること。もしくは、安定した会社の高配当の株式を保有してインカムゲインの恩恵を受けることだ。  今の株式相場は、目先はいいとしても、大きく下がる可能性も残している。だから、目先の投資もするけれど、安定性の高い銘柄に絞り、さらに大きく下がった時に十分な投資ができるような投資資金も一方で確保しておく。  この両方に目配りすることが大切だと思っている。投資資金を今の相場にすべてつぎ込むなんてことは決してしない。これが目先の方針。  さて、今回取り上げる注目したい投資案件は次の2つだ。今回は注目している株式銘柄でない。  まずはSBI新生信託銀行がインターネット限定で募集している、1年ものの金銭信託。パワートラストneo(ソフトバンクグループ)だ。申し込みはインターネットから50万円以上10万円単位。信託設定日は2023年6月5日で、信託期間は1年。  注目はその予定配当率だ。年0.48%と大変魅力的なものになっている。格付けを見ていると『Jー1』(日本格付け研究所)とのことで信頼感も高い。   また、在日韓国系の金融機関であるハナ信用組合の3年ものの円定期(チャレンジ、未来)は4月から預け入れ金利を上げた。3年ものの円定期は年0.6%。出資して組合員になる必要はあるが悪くない。1000万円までであれば、預金保険機構の保証が付くので安心でもある。  信用組合であるので、この金融商品は東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・群馬・栃木・新潟・長野の1都8県の在住者もしくは勤務先がある必要がある。
パワートラストneo

パワートラストneo

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筆者が実際に買った銘柄は?
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経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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