更新日:2023年08月16日 14:18
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「高麗航空が怖い」中国人の行動変容で生じる中朝国境開放の思わぬ余波

政府専用機とされるIL-62M。1979年受領の旧ソ連製

政府専用機とされるIL-62M。1979年受領の旧ソ連製

平壌便復活の兆しが高まっている!?

 米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は、今年5月に「北朝鮮の高麗航空の機体が整備されているようだ。往来再開に向けた動きか」と報じていた(参照:「38North」)が、先日報じたように、中朝国境開放で平壌への往来が再開しそうな気配が濃厚になっている。高麗航空が運行を再開したら、2020年2月1日に最後に北京へ定期便が飛んで以来、3年半ぶり以上となる。  ところが、世界1搭乗者が多い中国のSNSでは、「(北)朝鮮へ観光したいが、高麗航空は怖い」という声が増えている。   理由としては、「メンテナンス不備で不安すぎる」という根強い懸念があるようだ。

コロナ禍で全然飛んでいない高麗航空機への不安

 中国人にも航空機マニアは存在する。SNS微博(ウェイボー)で検索すると、「フライトレーダー24」の情報を加工して発信している投稿も少なくない。  そんな中国の航空機ウォッチャーたちが、「高麗航空の機体は、コロナ禍で片手で数えられるほどしか飛んでいない」と指摘しているのだ。  現在、中国のSNSを改めて確認すると、多くの投稿は、“整理”されたようだが、2022年5月17日、遼寧省瀋陽に高麗航空3機が医薬品を運ぶために往来したという記事が残されている(ちなみに、残されていることから、この記事は中国政府も黙認している考えて良さそうだ)が、高麗航空、しかも、利用機体が、旧ソ連製のIL(イリューシン)-76だったから、驚きとも心配とも言えるようなコメントで注目を集めていた。  これはつまり、高麗航空がメインで運用する機体は、旧ソ連、ロシア、ウクライナ製だったりするため、新型コロナウイルスによる鎖国に加え、2022年2月末からのロシアによるウクライナ侵攻により、両国からの整備部品が入っていない、という事態が危惧されているということだ。  このあたりの背景を踏まえて、中国で上がる安全を不安視する声なのだろう。
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「陸路越境」を希望する中国サイド
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なかのよう●北朝鮮ライター・ジャーナリスト。中朝国境、貿易、北朝鮮旅行、北朝鮮の外国人向けイベントについての情報を発信。東南アジアにおける北朝鮮の動きもウォッチ。北レス訪問が趣味。 Twitter ID @you_nakano2017

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