「3兆円企業」を目指す無印良品。キーワードは“脱・セゾン化”
化学メーカーで研究開発を行う傍ら、経済本や決算書を読み漁ることが趣味のマネーライター・山口伸です。『日刊SPA!』では「かゆい所に手が届く」ような企業分析記事を担当しています。
さて、今回は「無印良品」でお馴染みの株式会社良品計画の業績について紹介したいと思います。
良品計画は先日、東池袋に置いている本社ビルを2024年2月に飯田橋へ移転すると発表しました。それに伴い本社ビルも売却するとのことです。事業拡大に伴い本社が手狭になったことも要因の一つとされていますが、確かに創業以来、業績は伸び続けており、今後も国内外で無印良品の店舗数を増やすようです。2018年には海外店舗数が国内を上回っています。
無印良品がなぜ国内外で成功し、どのように成長したのか、創業以来の歩みを見ていきましょう。
「無印良品」は1980年、西友のPBブランドとして誕生。国内経済の成長期であった当時、消費者の間では“ブランド志向”が根付いていましたが、それとは反する“シンプルさ・低価格”を売りとした商品群として打ち出されました。
時代に逆行するシンプルさがむしろ消費者受けにつながったようで、1985年には同ブランドの売上高が140億円を突破し、1989年には西友から独立する形で株式会社良品計画を設立しました。翌年からは直営店として小売事業を始めています。
90年代に入るとバブル崩壊もあってシンプルなデザインがより受けるようになり、さらに店舗数と認知度を高めていきました。1999年には売上高が1,000億円を突破。
しかしその後はユニクロやニトリ、百均チェーンなどの低価格を強みとする競合が台頭したことで利益が圧迫され、2002/2期には同社の当期利益がゼロとなってしまいました。
社員個人のセンスを活かすような店舗運営がされており、マニュアル化やコスト管理が疎かになっていたことも業績悪化の要因とされています。2001年に就任した新社長は原価38億円相当にも及ぶ在庫処分とリストラを英断し、良品計画の改革に取り組みました。
その他にも生活雑貨のデザイン見直し(モノトーン化)や出店基準の制限強化、自動発注システムの導入も進め、これらの改革によって利益率はV字回復を遂げました。2005年には中国進出、その2年後には米国進出を果たしています。
“ブランド志向”に相対するシンプルさがウケる
競合の出現で一時はピンチに陥る
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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