更新日:2023年08月24日 22:53
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Amazonプライムが値上げを発表…それでも「まだ安い」と断言できる理由

筆者(田中謙伍)はAmazon日本法人に新卒入社し、現在はAmazonで商品を出品する企業のコンサルティング会社を経営している。 Amazon日本法人在籍中に副業でAmazon内で商品を出品し3億円を稼ぎ、現在はAmazon内でヒットする商品の成功要因を分析できる立場を活かし、日刊SPA!では「ヒットする商品の背景」についてお伝えしていきたい。 さて、Amazonジャパンが、有料会員サービス「Amazonプライム」の会費を8月24日に値上げすることを発表した。改定後の価格は、年会費が1,000円上がり年額5,900円、月会費は100円あがり月額600円(1年間で7,200円)になる。 本稿では、同社の事情を知る立場として「値上げしてもまだ安いと思える理由」について、同社が一貫して持つカルチャーを踏まえて解説する。
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Claudio Divizia – stock.adobe.com

世界的に広がる「Amazonプライムの値上げ」

まず、今回のAmazonプライムの値上げによって、Amazonジャパンはどれほどの利益を得られるだろうか。『ハリウッド・リポーター』によると、現在のAmazonジャパンのプライム会員はおよそ1,500万人と予想される。つまり単純計算で150億円の収益増(しかもそれがほぼ利益)になることが見込まれる。 本家アメリカでも、Amazonプライムの会費は昨年値上げしたばかり。実はこの動きは世界的に広がっている。 ただし、この150億円は新たなサービス実装のための投資費用として回収しているわけではなく、すでにユーザーに提供しているサービスのコストを後から回収しているというのが正確だ。

物流コストだけが値上げ理由ではない?

まず、今回の値上げの背景について、一部報道では運送業従事者の働き方改革に伴う物流コスト増加、いわゆる「2024年問題」に先立った対策であるとも言われる。 だが、この説明は正確ではない。というのも、物流コストだけが今回の値上げの理由ではないからだ。そもそも、Amazonプライムは今や、配送以外にもAmazon Musicや、Amazon Primeなど、さまざまな特典が存在する。 端的に言えば、今回のAmazonプライム値上げの本当の理由は、さらなるサービス拡充を図るためだ。
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赤字を出してでも「先行投資」する姿勢
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EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している

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