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新任の塾講師、実はライバル塾のスパイ?問い詰めた経営者に放った“ふてぶてしい”捨て台詞

 ときどきニュースにもなる「スパイ行為」に関する話題。競合相手より優位な立場を得るために情報を盗んだりするこの行為は、時として国家間でも見受けられるほどです。今回は、規模はローカルであるものの、塾経営者が遭遇したスパイ行為に関するエピソードです
塾講師

※画像はイメージです

 もともと人に教えることが好きだった吉田さん(仮名・35歳)。教育関連の出版社へ大卒で就職するも、夢を諦められず、数年前に個人経営塾をスタートさせたといいます。

迎え入れた期待の新任講師

「昨年度はおかげさまで難関大学への合格率が今までで最も良かったんです。特に理数系の生徒の快進撃が顕著でした。もちろん、個々の生徒さんの努力が報われたのですが、講師陣も非常にがんばってくれたと思います。ただ、留学や出産などで数名の講師が塾を離れることになるので、目下募集中です」  吉田さんは、はやりのSNSを使った募集にもチャレンジし、自身も全面に露出させた広告を展開したところ、予想以上の反響があったようです。 「驚くほどの応募があったんですよ。それも、みなさん素晴らしい経歴で、中には『なんでウチに?』と思うようなハイクラス人材もいました。僕一人では面接をこなせなかったので、副塾長にも参加してもらったほどです」

順調に見えたスタートだったはずが…

 最終的に数名の志願者に絞り込んだ吉田さん。その中には、某国立大学の医学部大学院に籍を置くAという好青年がいたといいます。そうしてスタートした今年度の塾は、吉田さんの想像以上に活気に満ちあふれ、口コミで生徒もかなり増えたといいます。 「新しく仲間になった講師陣は、どの方も素晴らしいの一言なんですが、そのなかでも、医学部大学院に籍を置くAくんは、今まで見たことがないくらい上手な教え方で驚きました。生徒とのコミュニケーションがとてもうまく、みんな楽しそうでした。案の定、そのすぐ後に行われた学力テストでは、前回より高得点をマークした生徒が続出しました」  ただ、順風満帆に見えた吉田さんの塾も、ある一人の生徒が何気なく語った一言で一変したといいます。 「1か月ほど経過した頃でしょうか。ある生徒が副塾長と雑談をしているときに、Aくんのことを以前から知っていると言ったらしいのです。それも、昨年まで通っていたライバル塾で先生をしていたとのことでした。どうしようもなく嫌な予感がしたのを覚えています」
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ライバル塾で張り込みをした結果
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愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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