「IQは高いのに、なぜか投資詐欺に騙される人」の残念な特徴。“合理性障害”がアダに
SNS上の有名人なりすまし投資詐欺など、全国的に詐欺が急増している。警視庁の発表では、今年1~3月のSNS型投資詐欺の件数は、1700件で被害総額は219億3000万円にも上る。しかし、これらのニュースを見て「自分は詐欺などに騙されない」「詐欺に騙されるのはバカな人だけ」などと考えるのは早計だ。
経済学で読み解く正しい投資、アブない投資』より、頭の良い人が詐欺に騙されてしまうメカニズムについて解説する。(以下、同書より一部編集のうえ抜粋)。
詐欺には意外と学歴の高い人も引っかかっております。ネット上の陰謀論者にも高学歴の人が多いでしょ? オウム真理教の教団幹部なんて理系の大学院卒とかがゴロゴロいました。
なんで世間的に頭がいいと言われている人が、詐欺に引っかかってしまうのか? そのキーワードは「合理性障害」です。
そもそも、IQテストでは人間の能力のごく一部しか測定できません。車に譬えると、エンジンの馬力しか測れないテストみたいなものです。
馬力のある車でも、車体が脆弱だったり、ブレーキ性能が悪かったりしたら本当にいい車とは言えませんよね? さらに、それらが完璧でも、運転手の技術が未熟だったらたぶん事故が起こります。
実は人間の能力もこれに似ています。馬力と車体、ブレーキ性能、運転技術に何の相関もないのと同じように、IQと社会的成功の間には全く関係がありません。IQの父と言われるターマン博士が1970年代に行った実験で「神の子」レベルの天才が1500人ぐらい見つかりました。
しかし、その後の追跡調査で彼らの生涯が割と平凡であることがわかりました。さらに、このテストを受けてこの天才リストから漏れた子供のほうがノーベル賞を受賞しています。つまり、選ばれし1500人は天才ではなかったのかも……。
また、企業経営者のIQを測定するとその平均値は125ですが、下は95から上は140までの大きなばらつきがあります。つまり、IQが高いからといって経済的に成功できるわけではない。成功した経営者のIQはほぼランダムなわけですから。
『The Intelligence Trap:なぜ、賢い人ほど愚かな決断を下すのか』(デビッド ロブソン著/日経BP日本経済新聞出版本部)によると、IQの高い人が入る「メンサ」という団体に関する調査において、「メンバーの44%が占星術を信じており、56%が地球外生命体が地球を訪れたことがあると考えているという結果が出た」とのこと。
これらの証拠から、IQが高いこと(一般的に「頭のいいこと」)と騙されやすいこと(合理性障害)は十分に両立し得ます。
経済評論家の上念司氏は、「IQの高い人でも投資詐欺には騙されてしまう」と指摘する。上念しの新刊『なぜ、IQの高い人が詐欺に引っかかってしまうのか?
IQが高い人が必ずしも経済的に成功するわけではない
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1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中
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