更新日:2024年09月19日 17:00
ライフ

老舗寿司チェーン「かっぱ寿司」でひとり飲みの興奮。100種類以上ある“110円メニュー”すべてが極上の肴だ

 ちょっとだけ飲んでから帰りたいけど、わざわざ居酒屋に行くほどではない――。そんなときに重宝するのが「ちょい飲み」のお店だ。吉野家の「吉呑み」を筆頭に、最近ではファミレスやファストフード、大衆中華チェーンなどでもちょい飲みセットを提供するところが広がっている。
パリッコのチェーン店ひとり酒

パリッコのチェーン店ひとり酒(イラスト/パリッコ)

 日常的に酒場へ通い、酒にまつわる連載や本を多数執筆している酒場ライター・パリッコさん@paricco)。普段は地元に密着していて、単独ではちょっと入りづらいような個人店を取り上げている彼に、ベタなチェーン店で飲んでもらう連載「パリッコのチェーン店ひとり酒」。  第7回に取り上げるのは、老舗の寿司チェーン「かっぱ寿司」。それぞれこだわりのスタイルがありそうなチェーン寿司での一人飲み。パリッコさんの選択は?

かっぱ寿司へ行こう!

   回転寿司店に対する認識を「寿司屋」でなく「酒場」に変換するだけで、酒飲みにとってのその可能性は、無限とも言える広がりを見せる。  つまり、寿司およびその他のメニューすべてを「酒のつまみ」と認識するわけだ。大衆酒場の料理と比べてもさらに1品1品がリーズナブルで、ポーションが小さいから胃袋と相談をしながらの微調整がきく。最近は、肉メニューや、洋食的なサイドメニューが充実している店も多い。シメが欲しければラーメンやスイーツだってあったりする。そう考えると、酒飲みにとって天国のような場所と言える。  昨今の低価格系回転寿司シーンにおいては「スシロー」「はま寿司」「くら寿司」の勢いがすさまじいけれど、忘れてはいけないのが、1979年創業の老舗「かっぱ寿司」。スシロー、はま寿司、くら寿司、どの店も我が家から気軽に行けるエリアにあってよく利用するからこそ、ちょっとだけ足を伸ばす必要のあるかっぱ寿司で、なんだか無性に飲みたくなってきた。今日目指すべきは、かっぱ寿司だ。

「かっぱ寿司」

 調べてみたところ、我が家の最寄り店舗は「かっぱ寿司 練馬貫井店」。電車で4駅ぶん移動して、そこからさらに数分歩くという、ちょっとした苦労の末に到着。するとかっぱ寿司は、なんだか日光の加減で神々しく見え、まるで、今日この店を選んでやってきた僕を祝福してくれているかのようだ。  福音はまだ続く。店頭にはためくのぼりに大書された「生ビール半額」の文字だ。アプリをダウンドードして会員登録すれば、その日から使えるらしい。使えるのは「生ビール(中)」のみらしいが、「何杯でも! 何人でも!」は神すぎるだろう。さっそく会員登録し、使用方法を確認すると、会計時に店員さんに見せるだけでいいようだ。よし完璧!

なんて太っ腹な……

本気でうまい生ビール

 席につき、なにはなくとも「アサヒスーパードライ 生ビール(中)」(税込539円)を注文。残暑のなか汗をかきながらやってきた心身に染みわたりまくるうまさだ。

「アサヒスーパードライ 生ビール(中)」

 続いて、ひとまずなにかさっと出るメニューが欲しいと思い、サイドメニューのなかから「きゅうり醤油ドレッシングマヨ」を注文。なんと110円だ。

「きゅうり醤油ドレッシングマヨ」

 すぐに、これ以上に求めるものはなにもないくらいにちょうどいいきゅうりの小鉢がやってきた。しゃきしゃきしたきゅうりに爽やかな醤油ドレッシングが絡み、さらにマヨをつけながら食べる。止まらない。そしてビールがやたらうまくて、こっちも止まらない。結果、うっかりきゅうりをつまみにビールの1杯目を飲み干してしまった。  この僕の勢いには当然、半額であるゆえに気持ちが大きくなっていることも影響している。しかし僕は気づいた。飲み干したジョッキの内側に、ビアサーバーの状態やジョッキの洗浄が完璧であるビールのみに現れる「エンジェルリング」がくっきりと浮かんでいる。つまり、かっぱ寿司 練馬貫井店のビールが、純粋にめちゃくちゃうまいのだ。

エンジェルリング

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1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。X(旧ツイッター):@paricco

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