テーブルマーク 魚沼水の郷工場
ちょっと小腹が空いたときに、冷凍庫から取り出して、レンチン、またはささっと茹でるだけで空腹を満たすことのできる冷凍うどん。実際にどのように作られているのか。冷凍うどんの年間製造食数6億食!「カトキチ冷凍うどん」を製造・販売するテーブルマーク。魚沼水の郷工場を見学する機会に恵まれたので、その模様をお伝えする。
2010年に操業を開始したテーブルマーク魚沼水の郷工場は敷地面積6.1ha(東京ドーム1.3個分)。冷凍麵とパックごはんを製造している。八海山をはじめとする越後の山々の雪解け水は、うどんをゆでるにもごはんを炊くのにも大変適しているといい、生産能力は6万9000食/時。それだけ聞くと、こねた大量の小麦粉を猛スピードで麺状にのばし大量生産する様子が思い浮かぶ。が、テーブルマークの冷凍うどん製造工程では、うどん職人が手打ちで作る工程を機械で再現しているという。
もちもち感を生み出す冷凍うどんの製造工程
製造工程は以下の順番で進行していく。
①ミキシング
原料を真空状態で混ぜ合わせることで、小麦粉と塩水がなじみやすくなり、良質な生地になる。しっかり練り上げることで、うどんの「コシ」に大きく影響するグルテンを十分に引き出す。
②圧延
帯状にまとめた生地に適度な圧力をかけ、ていねいにしっかりと鍛えることで強いコシ(弾力)が生まれる。
③熟成
鍛えた生地を休ませる。熟成させる(寝かせる)ことにより、生地にかかったストレスを緩和。
④圧延
うどんの厚みになるまで丁寧に延ばすことで、生地の表面がなめらかになり、つるみのあるうどんに。
⑤包丁切り
包丁で一本一本切ることで、ゆでたときに麺の角が立ち、くびれた形になるため、つゆののりが良くなる。
⑥大釜ゆで
お湯をたっぷり張った大釜でゆでることで、ねじれが少なく、なめらかでのどごしのよいうどんになる。
その後、ベルトコンベアは巨大な冷凍庫へと進んでいき、冷やし・急速冷凍と進んでいく。
急速冷凍されて商品の形に
③熟成から④圧延の工程では、ゆっくり1時間半以上かけながら、体育館のマット状の厚みだった生地が、次第に薄く延ばされていく。小麦粉、塩、水という極めてシンプルな原料であるうどんの“コシ”を生み出すには、当たり前のようでも、まぜる、こねるという部分をおざなりにしてはならないのだ。よくまぜ、こねられた小麦粉に含まれるたんぱく質が、水と結合することで「グルテン」が形成され、その粘弾力がそのままうどんのコシにつながる。
見学の最後に、うどんを試食。白だしのつゆにネギがのっているだけのシンプルなだしうどんだが、表面はつるつるでなめらかながら、弾力のあるコシが、素材のうまみを存分に引き出している。
日頃、当たり前のように口にする商品がどう生まれるのかを改めて意識できる今回の見学会であった。<取材・文/日刊SPA!取材班>