ノンスタ石田明、M-1審査員のオファーに当初は…。反対だった“初の漫才分析本”を出したワケ
もはや年末の風物詩となった「M-1グランプリ」(ABCテレビ・テレビ朝日系)。今年は史上最多となる1万330組がエントリーした。そんな同大会で2008年、見事チャンピオンに輝いた漫才コンビNON STYLEのボケ担当・石田明さん(44歳)。
答え合わせ』(マガジンハウス新書)も出版した。
「漫才に関する本は絶対に出すつもりはなかった」と語る石田さんが今回、出版に至った経緯や現在の活動などについて話を聞いた。
――お笑いファンにはたまらない一冊でしたが、もともと漫才分析本を出すことには反対だったとか?
石田明(以下、石田):漫才分析自体は岡村(隆史)さんとナイナイさんのラジオでやってたんですが、それを活字にはしたくなかったんです。これまでずっと断り続けてきて、「一生出さへん」って思ってたんで。「お前、何様やねん」みたいな気持ちがあるから。
――いやいや、そんな。
石田:それでも書こう思ったのは、書いた時点で情報は古くなっていくけど、今の自分の考えをいったんここに置いといて、また新しい感覚でお笑いを始めようってたまたま思えたタイミングだったからなんです。だから、5年後、10年後にこの本の答え合わせができたらおもしろいって思ってますね。
――本書では「システム漫才」の生みの親として、M-1王者のチュートリアルとブラックマヨネーズを挙げています。そもそもシステム漫才とは何でしょうか?
石田:これがまた、すごい定義が難しいんですけど。今までのオーソドックススタイルの掛け合いではなく、オリジナリティをプラスした漫才なんです。なんて言ったらいいかな……今はシステム漫才も多様化していって、まとめられなくなってるんですよね。だから、僕らの漫才もある意味、システムなんですよ。(「M-1」2008年の優勝ネタの)僕が太ももを叩く動作も、本線ともう1個の軸を作ることで、2軸を走らせて別のところで笑いを取るシステムなんです。
――本書には石田さんなりの漫才の審査基準として「面白さ」「真新しさ」「技術」などを紹介されています。個人的には、それ以外に、ベテランの「味」もあるかと思ったのですが、「味」ってなんだと思います?
石田:どういうところがわかりやすいかというと、スベっていても見てられるかどうかですね。若い頃のネタってスベり出すと見てられないんですよね。M-1に出てくる芸人も芸歴10年超えたら味出てくるんですよね。僕がよく言うのは「床暖(房)効いてるか?」みたいな。床暖効いてる漫才っていうのはスベっていても見てられるんですよね。
中川家さんも漫才をしていて、2人だけしか笑ってない時間があるんですけど、でも客席見たら、もうみんながホクホクの顔をしてるんですよね。笑ってはないけど、その状態を楽しんでいるみたいな。千鳥さんとかもそうだと思いますし、僕らもそうなんですけど、スベっていることの喜びというか、2人だけが楽しんでいて、お客さんも「爆発待ち」みたい状態になれる。それが味だと思いますね。
コンビで舞台に立つだけでなく、バラエティ番組への出演、NSC(吉本総合芸能学院)の講師も務めたりしている。さらに10月にはM-1や漫才に対する自身の考えをまとめた著書『
「一生出さへん」って思ってた
スベっていても見てられる「床暖効いてる漫才」
平成生まれのライター、編集者。ファミマ、ワークマンマニア。「日刊SPA!」「bizSPA!フレッシュ」などの媒体で執筆しています
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