「山口から再び維新を」山口県知事選立候補の飯田哲也氏を直撃!
ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長が山口県知事選(7月12日告示、29日投開票)への出馬を正式に表明、自然エネルギーへの転換などを掲げた8項目の政策「山口八策」も発表した。
飯田氏は橋下徹大阪市長のブレーンとして「原発再稼働なしでの電力需給計画」を具体化する議論の牽引車役を務めてきたが、大阪府市の特別顧問は辞任。「大阪維新の会」などの政党の支援は求めず、無所属で立候補するという。
出馬の理由について飯田氏は、35年前に故郷の山口を去った後、シャッター街が広がっていく様子を目の当たりにしたことから「太陽光や風力など再生可能エネルギーへの投資拡大で山口を活性化したい」と強調。
「地域分散型の自然エネルギーによる第四の革命が世界で進行中。小さな寒村が賑わいのある街に変わっていく様子を欧州で実体験、日本はグリーンゴールドラッシュを指をくわえて見ている状況。山口で世界のモデルとなるいいもの(地域振興策)を作りたい」と訴えた。
また中国電力が進める上関原発計画については「予定地周辺は奇跡の海で、計画中止をしてエコツアーの場としたい」と明言した。
また、野田政権の再稼働を食い止めてきた最大の要因だった橋下市長が敗北宣言したことも、出馬の一因のようだった。
本誌記者の質問に対して、飯田氏はこう答えた。
「この選挙戦でも伊方原発と玄海原発の再稼働が、被害地元として大阪府市エネルギー戦略会議や関西広域連合が行った議論が可能。ただ山口の孤軍奮闘ではそう簡単に再稼働反対の歯止め役ができるとは思っていないが、国民の8割が脱原発を支持、野田政権の再稼働の手続きがあまりにもデタラメなことに国民は怒っている。私の動きに呼応して、他にもいろいろな予期しない動きがどんどんと出てきて、『何とはなしに原発依存の空気に戻りつつある流れが変わるかも知れない』という見えない変化に期待、可能性があるかも知れないと思っています。国全体が福島原発事故がなかったかのような安全神話による原発依存の方向に急速に戻っている危機感を覚えている。中央政府が急速に逆回転に回り始めている時に、新しい歴史の流れを作れるのではないかという動物的カンが働いた」
山口市内で出馬会見を行った夜には、生まれ故郷の周南市で、出身校の徳山高校OB中心の勝手連の集会が開かれた。参加者の一人は民主党県議。「民主党山口県連は、同党を離党する方針の高邑衆院議員について『出馬の経緯などが問題。保守的な政策も相いれない』と自主投票を決めたので、飯田氏を応援しやすくなった。政策的にも、今の再稼働ありきの民主党ではなく、政権交代当時の民主党に近い」と、民主党関係者の間にも支持が広がる可能性を示唆した。
選挙戦は、飯田氏が民主党票や無党派層などに食い込み、自民党と公明党推薦の元国土交通審議官の山本繁太郎氏を追い上げる展開になるとみられている。なし崩し的な原発再稼働に突き進む中央政府の逆回転を止めるきっかけとなる知事選と位置づけられそうだ。山口県知事選から目が離せない。 <取材・文・撮影/横田 一>
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