ツイッターのイタリア語読みはツイッテル?【ジョバンニ・アレヴィ インタビュー】vol.4
―[ジョバンニ・アレヴィ]―
いろいろと破格なイタリア人の天才ピアニスト、ジョバンニ・アレヴィ(Giovanni Allevi)。クラシック形式のコンサートにもかかわらず、Tシャツにジーンズで演奏し「老人の評論家たちを渋い顔にさせた」という常識破りなスタイルもさることながら、そのアーティストとしての実力、人気も折り紙つきだ。
約2年半ぶりの日本ツアー、最終公演とサイン会が終わった直後のロングインタビューを、たっぷりとお送りしよう。
⇒vol.3「イタリア人も遠足の前に熱を出すヤツはいるらしい」https://nikkan-spa.jp/464136
――そういえば、ジョバンニさんはツイッターをやっていて(https://twitter.com/giovanniallevi)、先ほどおっしゃっていた指宿での写真をアップされていましたね(https://twitter.com/giovanniallevi/status/344444051719856128)。
ジョバンニ:ツイッテル? はいはいはい。やっています。
――あ、イタリア語読みだと、ツイッターは「ツイッテル」になるんですね。なるほど。で、指宿での写真、あれは瞑想をされていたんですか?
ジョバンニ:はい。コンサートの前の準備なんですね。まず、コンサートをする前の心構えとして、集中をどういうふうに持っていくか、ということがあります。「現在の自分を深め、過去と未来を省く」という感覚にならなくていけない。ツイッターで私が書いたことは、「過去も未来も忘れて、今に集中すること」という内容です。
――なるほど、イタリア語だったので、私はさっぱりわかりませんでした(笑)。
ジョバンニ:ハハハ。私のファンたちがこの言葉に対して、すごく長い議論を始めました。ある人は「過去を忘れ去ることなんてできない」と言い、ある人は「過去は忘れてしまって、未来を向いて生きたほうがいい」と言うなど、いろいろな意見が飛び交いました。でも、みんなが言っていたことは「あの美しい場所に私も行きたかった」ということでしたよ(笑)。
――ツイッターはご自分で書かれているんですか?
ジョバンニ:フェイスブックも自分で書いています。コンサートの前には、ファンからのコメントを「お気に入り」に登録したり、リツイートしたり、という仕事をしていますよ(笑)。
――そういえば、ジョバンニさんは哲学の本も書かれているそうですね。ジョバンニさんは哲学者でもあるんですか。
ジョバンニ:ええ。哲学科を出ていますので。
――何かその本が賞を獲られたとか?
ジョバンニ:はい、イタリアの哲学の賞にノミネートされ、評価されました。
――音楽で評価されることに比べて、哲学で評価されるのは、また別の喜びがありますか?
ジョバンニ:自分という人間の存在価値を描いていくにあたって、音楽は自分を「火のように」描いて行かなくてはいけません。でも、哲学は「静の部分」を大事にしていく。それらは完全に分けられる、という感じのものではありません。
というのも、私の中の大きな問題意識として、クラシック音楽がどこに向かっているのか、というテーマがあります。それを哲学と絡めて考えて、では、自分は何をしなくてはいけないのかを考える。そういったことを考えていくと「自分の務め」というものに行き当たります。
――ふむ。少し難解ですが、その務めというのは、クラシック音楽をよりポピュラーなものにしていくということではありませんか?
ジョバンニ:それもバランス感覚としてものすごい大事で、クラシック音楽のベースとなっている「より深い伝統的なもの」は探求していかなくてはならない。しかし、探求する一方で、新しい分野へどんどんと自分が入り込んでいかなくてはならない。だから、その融合ということが、とても大事です。
私の中にある闘いのひとつとして、「伝統に常にこだわらなくてもいいのではないか」という考えがあります。だから、常に新しいものを発見していくという冒険は絶対に必要だと思います。
でも、作曲家というのは創造をしていかなくてはいけないでしょ。だから、私はそのために生きています。
――その具体例として、さきほどおっしゃっていたバイオリン協奏曲のようなものがある、ということですね。最近はピアニストとしてのみでなく、指揮者にもチャレンジされていますから。
ジョバンニ:もちろんクラシック音楽というのはメンデルスゾーンやチャイコフスキーなどいろいろなスタイルがあって、それらとは同じような形式では書かれています。でも、自分で美しいと思うものを、新しい試みをするなかでつくっていかなくてはいけない。
自分の中の心の声に、「もうすでに先人がいい曲を書いているではないか」という問いかけもあるんです。もう一つの声として、「でも、自分は新しいものに挑戦していかなくてはいけない」というものもあります。新しいものが、今の時代を象徴、表現するということだと思います。
だから、いろんなことを考えていると、どうしていいかわからなくなることもあるけど、結局、音楽が頭の中に生まれてくるので、そこに迷い込んで、曲をつくることになります(笑)。
――話は変わりますが、前回の取材のときに「10年間、しっかりとピアノの基礎を学んだから、空中で弾くことで練習ができる」とおっしゃっていましたね。エアピアノであんなにすごい技術をキープできるのか、とたまげましたが、今も相変わらずピアノは持っていないんですか?
ジョバンニ:ええ、持っていません。
――2年半ぐらいじゃ、そんなに人は変わらないですよね(笑)。
⇒vol.5気に入った日本語は「イッポーツーコー」と「サッスル」https://nikkan-spa.jp/464167
<取材・文/織田曜一郎(本誌) 通訳/堂満尚樹>
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