PS4はインディゲームや有料会員制サービスに注目せよ
去る6月11日から13日にかけて、アメリカのロサンゼルスで開催された“E3(Electronic Entertainment Expo)”。このイベントは、世界最大のコンピュータゲーム関連の見本市で、世界中のゲームファンが各社の動向に注目している。
そのE3で今年一番話題になったのが、SCEのプレイステーション4、マイクロソフトのXbox oneの次世代ゲーム機だ。両社は、現行機でも熾烈なシェア争いを繰り広げており、日本での市場では現世代のプレイステーション3が圧倒的に有利だが、世界市場ではほぼ互角(北米リサーチ会社の報告によると、’12年末時点で、世界累計出荷台数はプレイステーション3が7700万台、Xbox360は7600万台)。発売までまだ先だが、今後の動向を、3人の業界関係者に分析してもらった。
⇒【前編】はこちら https://nikkan-spa.jp/474804
【A氏】
ゲームメディアの編集者。十数年以上業界に携わっているが、E3参加は今年が初めて
【B氏】
ゲームなどの情報も扱うウェブメディアの編集者。アーケードゲームにも造詣が深い
【C氏】
英語が堪能なフリーライター。海外のゲームが大好きで、海外サイトでの情報収集が日課
◆プレイステーション4がもたらす新たな動きとは
――日本での期待が高いプレイステーション4に関しては、いかがですか?
C氏:現時点だと、プレイステーション4は現行機の上位互換といった印象で、Xbox oneほど、生活に変化を及ぼすような力があるとは思いませんね。
B氏:僕も同意見ですが、プレイステーション4で発売されるインディゲームには期待しているんですよ。たとえば、『Octodad:Dadliest Catch』。本作は、顔と手足はタコだけど、体は人間というタコのお父さんを主人公にしたアドベンチャーゲーム。このゆるくて自由な雰囲気が、まさにインディゲームといった感じで注目しています。
C氏:このゲームは、アメリカの大学に通う学生たちがオリジナル版を開発したんですよね。それから起業して新作を開発したとか。
B氏:そうなんですよ(笑)。最近、SCEもこういった中小企業のタイトルを発売するのに積極的なので、斬新なアイディアを盛り込んだ、ユニークなゲームが登場する可能性は高いと思います。
――社会現象を巻き起こすような、新作タイトルに期待できると。
A氏:僕は、有料の会員制サービス“PS Plus”に注目しています。音楽や映画など、ソニーグループが持つコンテンツのほかに、プレイステーション4専用コンテンツの制作・提供も行われる予定になっているんですよ。
現状、日本ではプレイステーション4が有利か。ただ、価格に100ドルもの差がついたことに関して、「SCEはマイクロソフトが価格を公表後、自分たちが発表する10時間の間に、価格を下げたんじゃないか」という憶測が流れるほど、情報の開示をめぐるバトルも勃発。発売されるまで、この抗争は、見ものだ。
【PlayStation 4】
価格 約3万7600円(※1)
発売時期 2013年末
HDドライブ 500GB
メモリ 8GB
ゲームディスク譲渡の制限 なし
E3で本体デザインが初めて公開されたPlayStation3の後継機。価格がXbox oneと比べて100ドル近く安いことや、ゲームディスクの譲渡に関する制限を設けない(要するに中古ソフトを認める)ことなどを発表し、会場の観衆からソニーコールが起こる一幕も
【Xbox one】
価格 約4万7000円(※1)
発売時期 2013年11月(※2)
HDドライブ 500GB
メモリ 8GB
ゲームディスク譲渡の制限 あり(※3)
新型Kinectが同梱されている分、価格はやや高めだが、テレビやSkypeなどの利用も可能。当初の発表では、ゲームディスクの譲渡を禁止するために、インターネット認証などを行うことを発表していたが、SCE側の発表を受けて制限しないことに方向転換した
※1:6月15日のレート(1ドル約94円)で計算
※2:日本での発売時期は未定
※3:後日、一転して譲渡を認めた
取材・文/週刊SPA!編集部
― PlayStation 4 VS Xbox one抗争の行方【2】 ―
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