好調『釣りバカ日誌・テレビ版』の裏で「釣りバカ方式」なるメソッドが発生中【コラムニスト木村和久】
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
― 木村和久の「オヤ充のススメ」その96 ―
10月中旬から始まった「釣りバカ日誌」のテレビドラマ版(テレビ東京系列、金曜8時)が、意外な面白さを発揮し、結構な人気を博している。今回はその魅力の秘密を探り、新たに生まれた「釣りバカ方式」なるメソッドを追ってみたい。
国民的映画となった「釣りバカ日誌」が終了して5年。漫画の釣りバカ日誌は、1979年から、番外編やスピンアウト編などを経て、未だやっているが、映像の世界ではもう見れないと、誰もが諦めていた。それは鈴木建設の社長役のスーさんの三国連太郎が、亡くなったから、どうにも立ちゆかなくなった。けど原作本は2800万部も発売されており、人気はまだ根強い。
そこで考えたのがテレビ版の制作である。原作と映画のイメージをどう踏襲し、現代風アレンジを加えるかが注目されたが、びっくりしたのが、スーさん役に映画ではハマちゃんだった、西田敏行を抜擢したことだ。観ていて不思議と違和感がない。しかも、映画のイメージをしっかり引き継いでいるから、同じ世界観を味わえるのだ。
ハマちゃんが、スーさんになったら、ハマちゃん役を誰がするのか? それは今やauのCMでも、金太郎役が板に着いている濱田岳だ。あの淡々とした、嫌みのない3枚目路線の風貌が、ハマちゃん役にぴったり。そもそも名字が濱田だから、まんまハマちゃんだし。加えてハマちゃんの奥さんとなるみち子さん役が、広瀬すずの姉の広瀬アリス。これは色気がテンコ盛りで、いい女過ぎる。でもそれがベストマッチだよなあ。ハマちゃんとみち子さんが、近い将来合体すると思うと、夜も眠れませんから。
釣りバカ日誌の面白さは、会社では社長とヒラ社員の関係だけど、趣味の釣りの世界においては立場が逆転し、社長が弟子になってしまうことだ。この逆転の構図は現実社会においても、よくある。最近、団塊世代のゴルフ友達は、自分の息子をゴルフ部に入れて、大企業に送り込んでいる。自分達がゴルフで人脈を広げたものだから、息子たちにゴルフを教え、出世レースで上位に立つことを願っているのだ。実際、新入社員なのに、重役達にゴルフのレッスンをして師匠となるケースが結構あるから面白い。ゴルフ部出身者は、コンペや取引先との接待ゴルフでも大活躍し、出世も早い。いいことづくめといえる。これぞリアル版「釣りバカ方式」でございます。
そしてもうひとつの「釣りバカ方式」が、テレビ業界を席巻しそうな勢いだ。つまり西田敏行のメインキャストを引き継ぐシステムは「釣りバカ方式」として、今後も業界で定着するのではないか。そもそも主役降板で、ほかのメインキャストが、代わりを演じるのは、今に始まったことではない。水戸黄門も東野英治郎以降、助さん役の里見浩太郎が、後に黄門様になったではないか。笑点の司会も多くは回答者の中から選んでいるし、さほど珍しいことではない。
というわけでテレビ業界の主役引継ぎの「釣りバカ方式」は「相棒」などの人気シリーズの、延命策として大いに期待したい。水谷豊が、定年を迎えて引退する時期に、最後に組む相棒を主役が張れる大物を起用する。そして、引き継いだ大物新人が、相棒のメインを張れば、永久機関のように続けることができる。いやこれで全てが丸く収まりますな。
ということは、ハマちゃんの濱田岳が、20年ぐらいしたらスーさんをやるっていうのか? いや、そこまで原作のネタが持つかなあ、最後は、原作者が不在でもオンエアを続ける、サザエさん方式が、究極ということなんでしょうかね。
■木村和久(きむらかずひさ)■
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
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