電王戦勝利の最強若手棋士が再びコンピュータと対決【ニコニコ超会議3】

超会議3囲碁・将棋

大人気の「電王手くん」とも直接5手だけ対局できるコーナーもあった

 4月26、27日の2日間にわたって千葉県・幕張メッセにて開催された「ニコニコ超会議3」には、昨年と同様に「超囲碁・将棋・電王ブース」が登場。プロ棋士や女流棋士、芸能人によるエキシビションマッチや、先日閉幕したばかりの「第3回 将棋電王戦」にまつわる、さまざまな催し物が展開されていた。(総括記事⇒http://nikkan-spa.jp/626805

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 なかでも特に注目を集めたのは「▲豊島将之七段&YSS」VS「△Ponanza×ツツカナ×習甦」というドリームマッチだ。豊島七段は「第3回 将棋電王戦」で唯一勝ち星を上げた若手最強のプロ棋士である。このエキシビションマッチは、豊島七段が自ら倒したYSSとタッグを組み、その読み筋を参考にしながら、Ponanza×ツツカナ×習甦というプロ棋士が勝てなかった3ソフトの合議制システムと戦うというものだ。

 先手の豊島七段は持ち時間30分を使い切ると秒読み30秒、対する後手のコンピュータ連合軍は1手10秒と、短い持ち時間の将棋ではあるが、豊島七段はYSSを自由に使ってよく、自分が考えた手に読み抜けなどの人間的なミスがないかを確認できるルールなので、YSSをうまく活用できれば、ひとりでもっと長い持ち時間を使って指した場合よりも高いクオリティの将棋を指せる可能性がある。

 コンピュータは10秒でも10数手くらいは一瞬で読みきってしまうが、20数手、30手以上となると1時間かけても読みきれなくなるため、その先が見えずに結果として悪手となる手を指してしまう可能性がある。しかし今回のルールなら、豊島七段とYSS側は、プロ棋士の大局観で読ませる局面を減らすことでそのような状況を避けることができるのではないか。

 豊島七段はYSSとの練習対局を何百局とこなしており、YSSの「パイロット」としてはこれ以上の使い手はいない。つまり、人間とコンピュータがお互いの弱点を補い合いながら戦うことができれば、原理的には何台のコンピュータが相手でも勝てるはず、というわけだ。

 実際の対局では、なんと「先後同型の角換わり腰掛銀」に進んだ。この戦型は先手に「富岡流」と呼ばれる定跡があり、今のところプロ棋士間では先手が勝つと結論されている。コンピュータは長手数の定跡は苦手にしており、通常はそのような戦型にならないよう開発者が手動で設定を入れて対策するのが一般的だ。しかし今回はコンピュータ連合軍が合議制ということもあり、設定が入っていないソフトの意見が通ってしまったということだろうか。

 完全に「富岡流」の定跡手順に入ってしまったら、先手がそれをなぞるだけで勝ちになるはずだが、人間の研究には穴がないとも限らない。この場でコンピュータ連合軍が「富岡流」に対抗しうる「新手」を生み出してしまう可能性もある。ニコニコ生放送の画面では、将棋に詳しいユーザーからこのあとの展開を期待する声がコメントで相次いでいた。

解説の佐藤天彦七段と安食総子女流初段

解説の佐藤天彦七段と安食総子女流初段

「きょう新手が出て後手が良いってことになったら生活に関わってきますね。家に帰って勉強しないといけなくなります(笑)」(佐藤天彦七段)

 ところがコンピュータ連合軍は、そんな人間たちの思惑を知ってか知らずか、かなり早い段階で定跡を外してきた。通常は定跡を外れた手はよくないと思われているから定跡にはなっていないとしたものだが、この成否はどうなのか。ちなみに、ここまでは先手も後手も5分も使っておらず、またたく間に進んでいった。

佐藤七段は△4一角打を見て驚きの声を上げていた

佐藤七段は△4一角打を見て驚きの声を上げていた

 「先後同型の角換わり腰掛銀」は、先手から駒損しながらも猛然と攻めを仕掛ける展開になりやすい。つまり、そのまま押し切るか、攻めが届かずに駒不足で何もできなくなるかのどちらかだ。豊島七段とYSSは、ここからとにかく攻めまくる。一方の連合軍は、人間には見えにくい、コンピュータらしい粘り強い受けの手(△4一角打)をくり出してくる。

 中盤以降、先手は次第に攻め駒が不足してきた。後手側は攻守交代とばかりに攻めてくる。コンピュータ連合軍がはじき出した評価値では、後手が少し有利と考えているようだ。しかし豊島七段とYSSのタッグも容易には土俵を割らない。そんなギリギリのせめぎあいが続く中で飛び出した「△6八銀打」が問題の一手である。

 この日のコンピュータ連合軍の合議の様子は、一貫して攻撃的で暴れ馬のようなPonanzaをツツカナと習甦が抑えるような流れだったのだが、この「△6八銀打」はPonanzaの候補手で、3者の意見が割れてPonanza単独の意見が通ってしまった形に。これがどうやら悪手で、これを境に豊島七段とYSSが一気に攻勢に転じる。もともと強い豊島七段にYSSの力も加わるのだから、単純なミスが起こる確率はゼロである。あっという間に大勢は決し、先手の豊島七段とYSSが見事に勝利を収めた。

MAGIシステム

連合軍の合議画面に投了の文字が。なんという MAGIシステム

 「第3回 将棋電王戦」では、ギリギリのいい勝負になってしまうと人間的なウッカリや体力的な問題が出て、コンピュータに寄り切られてしまうという局面が多く見られた。しかし、このエキシビションマッチでは、やはりコンピュータにも弱点はあるということ、そして人間が将棋を考える力や技術自体がコンピュータに負けているわけではないことが、わかりやすい形で出ていたように思われた。

 今回は『ニコニコ超会議3』のお祭りの余興的な将棋ではあったのだが、実際の内容としては非常に見応えのある、示唆に富んだものだった。今後の電王戦やプロ棋士とコンピュータの共存を考える上でも、この企画をベースにした対局や催し物などが、もっと数多く開催されることを期待したいところだ。

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●超囲碁・将棋・電王 | ニコニコ超会議3
http://www.chokaigi.jp/2014/booth/cho_igoshogi.html

<取材・文・撮影/坂本寛 撮影/林健太>

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