ブラック企業の“大手”社員が激白「すでに社畜化してますね」
―[ブラック企業の“大手”社員が激白]―
ブラック企業――。
過酷な労働条件や驚くほどの低賃金で働かされる企業を指すこの言葉だが、一部上場企業でもそんなブラック企業は少なくない。
今回、一部上場企業にも関わらず、その企業名をGoogleで検索しようとすると、検索候補の3番目くらいに「○○社(企業名)+ブラック」と出てくる、まさにブラック企業の大手とも言える会社に勤める30代男性に接触。その実態を聞いてみた。
インタビューに応じてくれた男性は、関西の大学を卒業後その企業に入社した、入社9年目になるバリバリの中堅どころだ。
――御社は「上場企業年収ランキング」では、’06年度の30代平均年収が700万超と、業界平均を大きく上回って「年収偏差値」では75を超えていますよね。それでもブラックなんですか?
ええ、間違いなく。ウチは確かに「ハードワークだけど給料はいい」とか言われてましたね。でもそれも過去の話。その年収ランキングなんですけど、その’06年くらいから激減して、いまでは当時の6割にも満たない程度になってるんですよ。いまは業界内の平均と大して変わらないんじゃないですか?
――え、ああそうなんですか。それはブラック臭が強くなってきましたね。ご自身が「ああ、この会社おかしいかも」と思われたきっかけはあるんですか?
最初は入社すぐの研修でのことでしたね。ウチは技術系のメーカーなんですけどそういう専門的なことよりも、まず最初に「アリとキリギリス」の童話を読まされたんです。で、それについて感想文をかかされたんですね。
――アリとキリギリス……というと、あの「遊んでばかりいたキリギリスは冬になって死んじゃうけど、真面目に働いていたアリは生き残った」的な話ですね?
そうです。大学院まで出て、いい加減いい年なのになんで童話? しかも、どう考えてもクリエイティブな発想なんか要求されないですよね、この童話の感想文なんて。ひねった感想文なんて書けませんよ。「身を粉にして働くアリさんは偉い、賢い」ってことしか書けません。
――逆転の発想とかは求められない?
空気的に無理でしたね。先輩に聞いても、キリギリスをよく書いた感想文とかを書いた人はほとんどいない。ごく稀に、ひねくれた人がいても、即座に書きなおさせられたそうです……。
で、アリのように働くことは、通常業務以外でも要求されるんですよ。
⇒【後編】に続く
「残業代なし、有給でボーナスカット、『休み=悪』という劣悪環境」
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取材・文/日刊SPA!編集部
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