「弱者が必ずしも正義ではない」鈴木おさむが初のミステリー小説で挑んだ新境地

鈴木おさむ

鈴木おさむ氏 週刊SPA!本誌連載、待望の書籍化!

 “独裁者”とスタッフから恐れられる人気クイズ番組のプロデューサーが自宅のリビングで見たものは、磔にされた息子とその傍らに立つ玉虫色のスカーフを巻いた謎の男だった。男は6枚の名刺を取り出すと、5人の男女を招き入れ、プロデューサーにこの中にいる持ち主に名刺を返すように指示する。しかし、一度でも相手を間違えれば、息子の首に付けられた爆弾が爆発する。プロデューサーはこのゲームをクリアし息子の命を救えるのか。スカーフの男の目的とは何なのか――。

 これは鈴木おさむ氏の最新著書『名刺ゲーム』のあらすじだ。初めて挑んだ本格ミステリーについて、本人はこう語る。

「ルールはもらった名刺を持ち主に返すだけ。ものすごく単純だけど簡単ではない。僕自身、この歳になるまで相当数の名刺を交換してきたから、たぶん間違えるでしょうね(笑)。でも、相手からすれば返されなかった時のショックは小さくないわけです。仕事で会っている人に忘れられたらつらいですよね。最初は番組の企画として考えていたのですが、この『名刺ゲーム』はもっと深く掘り下げられる、そう思ったのがきっかけでした」

 名刺に書かれた会社の名前や肩書きが、その人の人生を映し出す。それだけにたった一枚の紙切れの受け渡しが濃厚な人間ドラマを生むのだ。

 2013年1月、今田耕司、立川談春のW主演で舞台化。その後、SPA!で小説として連載がスタートし、それを大幅加筆修正したものが、この『名刺ゲーム』である。

名刺ゲーム

『名刺ゲーム』

 物語はモノローグ形式で進み、次第にこのプロデューサーと5人の関係が明らかにされていく。独善的に仕事を進めるプロデューサーの周辺には、彼を憎む人間が少なくなかった。そして、5人の男女の中にもそうした意識を持つ者が含まれていた。しかし、鈴木氏はその対立構図を「悪と正義」などと単純化せずに描く。そこが、今作の“裏テーマ”でもある。

「今の30代、40代のサラリーマンって傷ついていたり、何かしらの怒りを溜め込んでいる人が多いでしょ? 社会システムが構造的な弱者を生み、一方で人の痛みのわからないような人間が強者だったりするけど、僕はどっちが正義でも悪でもないと思うんです。弱者というだけで意見が正当化されるのもおかしいし、人の痛みがわからない独裁者がいたほうが仕事がスムーズに進むことだってある。皆それぞれの立場で生きづらさを感じ傷ついている、そんなことも描きたかった」

 これでもかと張り巡らされた伏線は見事に回収され、やがて衝撃的なラストに導かれる。単行本化にあたって大幅加筆したという結末まで一気読みできることうけあいだ。ぜひ、手にとってほしい。 <取材・文/日刊SPA!取材班>

<プロフィール>
すずき・おさむ 72年千葉県生まれ。大学在学中の19才で放送作家デビュー。テレビやラジオの構成の他、映画の脚本、舞台の作・演出も手がける。主な担当番組に「SMAP×SMAP」(フジテレビ)、「有吉反省会」(日本テレビ)、「Qさま!!」(テレビ朝日)など

■著者サイン会実施のおしらせ■
2014年11月15日(土)15時~
紀伊國屋書店 新宿南店
http://www.kinokuniya.co.jp/contents/pc/store/Shinjuku-South-Store/20141020100053.html

●『名刺ゲーム』(扶桑社 1400円+税)
テレビ業界を舞台にした鈴木おさむ氏初のミステリー小説。人気放送作家がテレビ業界の裏側を描いた問題作と早くも話題に。衝撃のラストは必読だ。10月29日発売予定

名刺ゲーム

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