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紫雷美央vs紫雷イオ、女子プロレス界の姉妹対決は壮絶なシバキ合いで決着【M.I.O新宿FACEリポート】

紫雷美央vs紫雷イオ 女子プロレス界の姉妹対決は壮絶なシバキ合いで決着【M.I.O 2・14新宿FACE試合リポート】

リング上で対峙する両者。リング上はシリアスな空気に包まれる

 去る2月14日、ユニオンプロレス、OZアカデミー、アイスリボン、プロレスリングWAVEの4団体合同興行「M.I.O」が、新宿FACEにて超満員札止めとなる509人の観衆の中で行われた。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=799907  姉・紫雷美央と妹・紫雷イオは、プロレス観の違いから3年前に決裂。その後、両者は同じマット業界に身を置きながらも接点をほとんど持たず、それどころか冷たい舌戦を繰り返して、いがみ合っていた。この背景には、いくつかの社会事件における言い分の違いや各団体の思惑が複雑に絡み合っており、とても一筋縄ではいかない。その根深い遺恨については「女子プロレス界の“リアル姉妹ゲンカ” 紫雷美央vs紫雷イオが実現! 遺恨の真相を姉・美央が激白」(https://nikkan-spa.jp/797861)で既報した通りである。  さて、試合はエンタメ化が進む近年のプロレスでは珍しく、非常に緊張感溢れる内容だった。いつものようにマスク姿で入場する妹・イオと、女狐を思わせる尻尾をつけたスタイルの姉・美央。「イオー!」「美央ー!」という歓声の大きさは、ホームということもあって、姉がやや上か。黄色と紫のテープが交錯する。  ゴングが鳴っても、しばらくはコーナーに分かれてメンチを切り続ける2人。アイドル系レスラーとして知られる妹のイオだが、この日は血の繋がった姉を前にして殺し屋のような目つきをしていたのが印象的。観客も声を出すことを忘れ、固唾を飲んで見守っている。緊張と静寂。リングサイドに陣取った報道陣のシャッター音だけが鳴り響く。ありしのUWFで実現した前田日明vs佐山聡戦のような雰囲気だ。  試合開始から2分が経とうとするとき、2人は頭部をぶつけ合った。これを機に姉・美央が強烈な張り手一閃。試合は一気に動き出す。序盤は渋いグラウンドの攻防が中心。美央が執拗に膝十字を狙えば、妹・イオは流れる動きの中でニー・オン・ザ・ベリー→腕十字とグラップリングのセオリー通りに展開。寝技でも一歩も引かないところを見せる。ちなみに紫雷姉妹の家系はゴリゴリの柔道一族だ。
紫雷美央,紫雷イオ

ゴツッ……イヤな音を立てて頭部をぶつけ合う。殺伐な雰囲気に声を失う

 鬼神の表情で「オラ、どうしたッ!」と挑発する妹・イオ。試合が進むにつれ、2人の感情もヒートアップしていく。ゴツゴツしたエルボーの打ち合いや、あわや事故かと思わせるような危険な角度のキックが顔面を捉える。コーナーポスト上で美央が頭突きをかました際は、ガツンという鈍い音が会場に響き渡り、客席に戦慄が走った。また、イオのセコンドについた世IV虎をはじめとするスターダム・平成軍の面々も、尋常ならざる視線で試合を見つめている。通常のプロレスから逸脱する“万が一の事態”に備えているのは一目瞭然だった。  妹・イオがトペ・スイシーダやラ・ケブラーダといった華麗な空中技を繰り出せば、姉・美央は首4の字固めや女郎蜘蛛といった絞め技で対抗。だが手数ではイオが完全に上回っており、美央は劣勢に追い込まれていく。  フィニッシュはイオのムーンサルト・プレスでピン。「3年間で重くなっていた」と試合後に美央が苦笑いしていたように、勝負の行方を分けたのは闘志や技術ではなく階級差だったようにも思う。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=799915  試合後は、まず勝ったイオがマイクを握り、「3年間……短いようで、やっぱり長かったと思います」と語り始めた。 「今日こうして、このリングでぶつけたわけだけど、こんなにたくさんのお客さん……そしてたくさんのメディア・マスコミが注目して。まず、そんな試合をできたことがすごいことだと思っています(ここで場内から拍手)。最初は20人とか30人とか、そんな人数のお客さんの前でやっていた姉妹ゲンカが、こんなにすごい試合になって。それは全部この場を用意してくれた美央のおかげだと思っています(再び場内から拍手)。どうもありがとう!」
紫雷美央,紫雷イオ

試合にかけた思い、姉・美王への本音を堰を切ったように語り出すイオ

 さらにイオは「見えない壁、壊れましたか?」と観客に問いかける。見えない壁が壊れたのなら、まだまだ続きがあるはず。これで美央とお別れだなんて自分は思ってない。美央となら、まだまだ全然すごいことができるはず。今日は終わりではなく、新たなスタートなのだとアピールして、やんやの喝采を浴びた。
紫雷美央,紫雷イオ

「主役を取られた」。独特の言い回しでマイクを返す美央

 続いてマイクを持った美央は、「自分の自宅で自分でバースデーパーティーを開き、主役を取られた感じ」という独特の言い回しで観客の笑いを誘うと、「今日は負けちゃったけど、いろいろ私のやるべき方向性も見えました!」と笑顔で充実感を滲ませていた。なお、「M.I.O」興行の第3弾が5月9日に大阪で、第4弾が6月19日に新宿FACEで開催することもあわせて発表。2月16日19時からはニコニコ生放送で無料記者会見(http://live.nicovideo.jp/watch/lv210639512)を行い、そこで紫雷姉妹の今後、M.I.O興行の展望を説明するという。さらに「とてもとても重要な発表がありますので、ぜひ見てください」と含みを残していた。 ⇒【後編】試合後のインタビューに続く https://nikkan-spa.jp/800055 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 4団体合同興行「M.I.O」 2月14日(土)東京・新宿FACE 観客:509人(超満員札止め)  <メインイベント 時間無制限1本勝負> ○紫雷イオ(スターダム) (18分54秒 ムーンサルト・プレス→片エビ固め) ●紫雷美央(ユニオン、OZアカデミー、アイスリボン、WAVE) <取材・文/小野田 衛 撮影/丸山剛史>
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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