グルメマンガの問題作「ゴハンスキー」の珍才マンガ家・清野とおるに師匠がいた!?

「ゴハンスキー」の珍才マンガ家・清野とおる誕生秘話

『ゴハンスキー』のカバーで使われたお茶碗と使われなかったお茶碗(小)

 週刊SPA!で連載中のノンフィクション・グルメマンガ『ゴハンスキー』が話題になっている清野とおる氏。

 その人物像を掘り下げるべく行ってきた過去3回のインタビューでは、マンガ家デビューする前の人生について聞いてきたが、今回はデビュー以降の話を紹介しよう。

 高校在学中の1998年に『週刊ヤングマガジン』で月刊奨励賞を獲得して華々しくデビューした清野氏だが、その後のマンガ家の道のりは厳しかった。同誌では連載を獲得できなかったため、途中からライバル誌の『週刊ヤングジャンプ』に投稿を開始。そちらでは2001年に『青春ヒヒヒ』、と2003年に『ハラハラドキドキ』と2つの作品を連載したが、ともに半年ほどで打ち切りとなっている。

「2回目のチャンスをもらえたのも、何か期待をしてもらえていたからだと思うんですが、今読み返すと『よくこんなの載せたな』という作品ですね(笑)。当時は自分だけでなく、ヤンジャンの編集部もどこか狂っていたんだと思います。『ハラハラドキドキ』は、お腹に人面瘡ができた少年が見開きにバーンと出てきて、その人面瘡が『キャキャキャキャ』って笑ってるような作品で、それが巻頭カラーでしたからね。久々に再会した編集担当者も、『あんな漫画を描いた君も君だけど、その漫画を必死で推していた自分も何だったんだ……』と言っていました」

 赤羽に引っ越したのは、その連載も打ち切られた2003年の冬。「何かに取り憑かれたかのように物件の見学行って、家族にも相談せず『ココにします!』と決めてしまった」という突発的な引っ越しだった。

「今振り返ると、赤羽に呼ばれたんだと思いますね。僕は今も赤羽のマンガを描いていますけど、それも自分の意志じゃなくて、たぶん赤羽に利用されているんです」

 なお、アシスタント修行も経ずにデビューした清野氏だが、2011年に他界した貸本漫画界の巨匠・池川伸治氏は、その頃から師匠と呼べる存在だったという。『カラカポン』『へん血くりん』など、代表作のタイトルを並べただけでもヤバさが漂う池川氏だが、本人も相当な奇人。つねに殺人についての妄想が頭に飛び交っているような人で、「話すと本当のヤバい人ではなかったですが、作家然とした不思議な魅力のある人だった」とのこと。

「池川先生とお会いした当時の僕は、マンガ家として本当にダメダメな時期でしたが、池川先生は赤羽にときどきフラッと様子を見に来てくれたんです。直接アドバイスを求めたりは恥ずかしくてできませんでしたが、『清野くんは、もう1つ大きい壁を越えたら大丈夫だよ』ってニヤッと笑いながら言ってくれたのを覚えています」

 だが、清野氏のブレイクスルーのきっかけになった『東京都北区赤羽』の連載が始まるのは、赤羽に引っ越してから5年も後のこと。連載開始までは、まさにどん底の時代だった。マンガは読みきり作品がときどき載る程度で、雑誌のイラスト仕事などで食いつないでいたが、立ちゆかなくなりバイトも再開。「30歳になったら就職しようか」とも考えていたという。

「『Bbmfマガジン』で連載が始まった『東京都北区赤羽』も、最初は大してネタのストックもなく、『単行本1~2巻分くらい描ければいいかな』と思っていた程度でした。でも、本格的に赤羽でネタを探し始めたら、もう凄かった。次から次へと、ネタが向こうから寄ってくるんですよ。ネタ切れどころか、『まだあるのか!』『もういいよ!』『描けないよ!』とネタに押しつぶされそうになって、それは今も続いています」

 現在は4つの連載を抱える売れっ子だが、街ネタの多い清野氏のマンガは取材にかかる時間も膨大。「関係性は大事にしないと」ということで、マンガに登場する飲食店には、1回の取材だけでなく、2回、3回と通うこともあるという。

 そんな清野氏が、赤羽以外の街のヤバい飲食店に潜入したり、時には真っ当だったりそうじゃなかったりする食ネタを扱ったりするマンガ『ゴハンスキー』の単行本は、10月9日に発売! 現在、日刊SPA!にて2話分を無料公開中なので、そちらを試し読みして、気になった人はぜひゲットしてみてほしい。

 また、Amazonにて購入された方を対象にプレゼントキャンペーンを実施中。抽選で、『ゴハンスキー』のカバーで使用した直筆イラスト入りお茶碗と使用しなかった直筆イラスト入りお茶碗(小)を各1名様、サイン入り生原稿を10名様にプレゼント! 詳しくは下記の特設サイトにて。

●『ゴハンスキー』特設サイト http://nikkan-spa.jp/info/gohansukieeee

<取材・文/古澤誠一郎>

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