こんなタイプがチャンスを逃す――連続投資小説「おかねのかみさま」
健「ボ…ボロボロじゃないですか」
村「そうだ。ボロボロだな。だけど一番ダメなのは『ぼく、どうしたらいいですか?』だな」
健「え…」
村「あのな、お前はイイヤツなんだよ。いいやつ。俺もお前の学校の先輩だからウチの学校出たヤツはおまえみたいないいやつばっかりだってよく知ってる。だけどな、『イイヤツ』って、どんなヤツだ?」
健「え、えーと、人に迷惑をかけないとか、みんなと仲良くしてるとか、誰かが困ってたら助けてあげるとか、友達が多いとか、あと…」
村「あとなんだ?」
健「要するに!ポジティブな人だとおもいます!」
村「そう。それな。でもな、お前はそれを『なぞる』ことが目的になってるんだよ」
健「なぞる…こと?」
村「そう。しかも形から入るからタチが悪い。こうしたら幸運になるとか、こうしたら金持ちになるとか、こうしたらうまくいくとか、そういうのを形からマネてやってるだけで、それ以外のことをしちゃいけないって思い込んでるだけなんだよ」
健「で、でも!仲良くするのも明るくするのもすごくいいことじゃないですか!」
村「もちろんそうだよ。だけどその結果、お前の人生どうなった?」
健「ぐ…」
村「『ぐ…』だろ。『ぐ…』なんだよ。だけどお前はそんな『ぐ…』を見ないフリして、いつの間にか忘れて、ニコニコ敵を作らないようにしてるだけなんだよ。思ってることも言わず、思ってること自体忘れて、目の前の人間に嫌われないためだけに生きている。いいか?『明るいヤツ』と『明るくあろうとするヤツ』は武蔵小杉と武蔵小山くらい違うんだよ」
健「むさ…」
マ「ま、むらちゃん、この子もまだ若いんだから、そのうちわかるようになるわよ。私だってこの子くらいのときは本当に毎日がパン祭りだったし」
村「おまえの人生は参考にならねぇよ」
マ「傷ついたわー。あ、治った」
健「…」
村「…」
健「ま、ままさん…、僕…、どうしたら、あ、いや…なんでもないです」
村「なんか聞きたいことあったら言ってみろ。」
マ「いいのよ。なんでもきいて」
健「僕…、この先どうなるんですかね…」
村&マ「さぁーーーーーーーーーーー?」
次号へつづく
【大川弘一(おおかわ・こういち)】
1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。
Twitterアカウント
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2011年創刊メルマガ《頻繁》
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「大井戸塾」
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井戸実氏とともに運営している起業塾
〈イラスト/松原ひろみ〉
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