“レッスルマニア4”とビンスのある計画――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第76回
NBC特番“メインイベント”におけるハルク・ホーガン対アンドレ・ザ・ジャイアントのWWE世界ヘビー級選手権は、“悪のレフェリー”アール・ヘブナーの疑惑の3カウントによるホーガンの王座転落、新チャンピオンとなったアンドレの“ミリオンダラー・マン”テッド・デビアスへの“チャンピオンベルト売却”、そしてWWE世界王座のコミッショナー預かり=空位というさまざまなドラマを生んだ。
4年1カ月間にわたりつづいてきたホーガンの長期政権は、ここでいったん終止符が打たれた。しかし、ビンス・マクマホンとホーガンはこの時点ですでにある計画に着手していた。それはホーガンのハリウッド進出プランだった。ホーガンはプロレスのヒーローからスクリーンのヒーローへの華麗なる変身をとげようとしていた。
ホーガンの初主演作『ゴールデン・ボンバー』(原題『ノー・ホールズ・バード』)はWWEとニューライン・シネマ社の共同プロデュースという形で企画されたが、じっさいにこの“未知の領域”にハリウッド映画クラスの製作費を投下したのはビンスだった。
ホーガン自身はアーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリス、チャック・ノリスのようなタイプのアクションスターへの道をイメージし、じつはビンスもまた映画プロデューサーとしてのハリウッド進出を狙っていた。“WWEフィルム社”の野望はこの時代からすでにはじまっていた。
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