ホーガンとウォリアーのビミョーな距離――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第102回
ホーガンはWWE世界王座を失ったことで、結果的に“チャンピオンベルトを超えた存在”という新しいステータスを手に入れた。ホーガン自身は、どうやらこのパラドックスを計算していた。
“サマースラム90”はザ・スペクトラムに1万9304人の大観衆を動員(興行収益は33万8452ドル=推定)。PPV契約世帯数は“レッスルマニア6”とほぼ同じ55万世帯を突破した。ホーガン対ウォリアー、ホーガン対アースクェイクというふたつのカードは数字の上ではまったく同じ商品価値だったことが証明された。
90年代前半までのWWEの大河ドラマの句読点は、春の“レッスルマニア”、8月の“サマースラム”、11月の“サバイバー・シリーズ”、翌年1月の“ロイヤルランブル”の年間4大PPV。
ホーガンとウォリアーは微妙な距離を保ちながら、それぞれのポジションでそれぞれの連続ドラマを継続していった。9月オンエア分のTVショー“WWEスーパースターズ”には“フセインの友人”を自称するサージャント・スローターが登場した。ウォリアー政権にはすでに黄信号が点滅しはじめていた。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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