ビンスがこだわった“湾岸戦争”のパロディ――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第107回
この2日まえの1月17日、アメリカを中心とした多国籍軍がイラクへの空爆を開始し、第一次・湾岸戦争がはじまった。CNNが米空軍による爆撃シーンを全世界に実況生中継し、“砂漠の嵐”作戦という軍事用語が流行語になった。
3月3日、イラクがざん定休戦協定を受け入れ、それから1カ月後の4月3日、国連が安保理決議を採択。4月6日にイラクが正式に停戦に合意し、約3カ月間つづいた戦争の“生中継”が終わった。
1月の開戦から3月の停戦合意までのあいだに連続ドラマのストーリーを軌道修正するチャンスは何度かあったにもかかわらず、ビンスは“湾岸戦争”のパロディに異様なまでのこだわりをみせた。
1990年代のヒーローになるはずだったウォリアーの腰からチャンピオンベルトをひっぺがした大悪役はサダム・フセインの親友(という設定)のスローターで、そのスローターを倒すために立ち上がったアメリカン・ヒーローがホーガンだった。ホーガンはアメリカ国内の米軍基地を慰問し、その映像がWWEのテレビ番組のなかでくり返しオンエアされた。
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