トレーダー目線で検証!アベノミクスは「失敗」か「失速」か 【コラム二スト木村和久】
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
― 木村和久の「オヤ充のススメ」その120 ―
消費税の引き上げ再延期で「アベノミクスは失敗」と言ってる方が多いが、果たして本当にそうなのか? トレーダーの視点から、アベノミクスを検証してみたい。
アベノミクスが始まったのは2013年、すでに政権交代が決まった、2012年暮れから日経平均は上昇し始めている。政権交代後、黒田バズーカーが発射されて未曽有の金融緩和が始まり、2013年は爆発的に株価が上昇した。それまでの民主党政権時代は日経平均1万円前後だったが、アベノミクスが始まってから、日経平均が2万円を超えた時期もあり、単純計算でも日本企業の時価総額が倍以上になった。
一方、庶民の生活は相変わらず困窮しているから、アベノミクスは失敗というけど、まず日経平均を倍増させたことに敬意を表したい。日経平均が上昇し、企業の株価が上昇することは、外国企業に日本企業が買収されないで済むメリットがある。時価総額が安い企業は、買収のターゲットになりやすい。逆に時価総額が高ければ、その株式を売って資金調達し、他の企業を買収することができる。アベノミクスは、他国から企業買収されないだけの、株価に戻したというだけでも、十分評価に値する。
確かに現在、相場は軟調であり、消費税先送りが発表されてから、下落基調になりつつある。それだけで、アベノミクスを失敗というのは、いささか短絡的だと思う。そもそも2013年から3年半、日経平均を倍にした功績はどうなのよと言いたい。
過去において株価が上がったのは2003年から、2008年まで戦後最長の上昇相場と言われる時代があった。けど、その時の庶民感覚でも、充分潤ったなんて感想は全く聞こえない。バブル崩壊以降、庶民が景気の上昇を感じるなんてないんですよ。景気の上昇を感じないから、庶民なんだという説もありますけどね。
その最長上昇相場も、実質は2005年の夏からのバブル相場がメインで、2008年のリーマンショックで、その終焉を迎える。つまり3年ちょっとしか、相場の上昇はない。というか相場って上げ下げするもんだから、3年も上がってれば、充分立派だってことです。
そんなわけで、アベノミクスは3年が過ぎた。この3年間の株価を見る限り、「失敗」ではなく「成功」したのだ。そして今、「失速」しかけている、それが正しい表現だと思う。
今後はどうなるのか? 安倍さんは持って生まれた強運の人である。二回も総理になれたのだし。現在我々は2020年の東京オリンピック相場に向けて、邁進している時期であり、紆余曲折があるとしても、なんだかんだ2020年までに、日経平均2万円手前ぐらいまでは、戻すと予想される。
ちなみに現在の日経平均は軟調だが、値動きの激しい新興市場、ジャスダックや東証マザーズなどはどうだろうか。こちらは、ガ~ンと下がる局面もあるが、回復力も素晴らしく、平均的にはまだ高い指標を示している。トレードをやっているものにとっては、新興市場を見る限り、乱高下相場という認識であり、下落相場とは思ってないんじゃないですか。
とにかく今は、トレードに関しては、非常にやりづらい相場といえる。それは業績以前に、外的要因で相場が作られ、左右されることが多いからだ。これは上がるぞという株を買ったところで、アメリカや欧州、あるいは中東あたりでマイナス材料が出ると、日本株の一斉下落が起きてしまう。
「相場は夜、作られる」
今、こんな状況なので、持ち越しは怖いです。デイトレで瞬間を切り取って、こまめに稼ぐしかない。トレードはそんな簡単なもんじゃないですよ。よっぽどの研究と体験、そして覚悟がないと、やるもんじゃないと思います。
■木村和久(きむらかずひさ)■
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』
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