カネが潤沢にある東京、次の都知事に佐藤優が期待するのは「貧困撲滅」
ところで、舛添後の東京都知事として下馬評にあがっている政治家は、いずれも魅力がありません。誰が東京都知事になろうとも2020年の東京オリンピック・パラリンピックに対する影響はほとんどないと思います。都知事が誰かなどということは、国際的なニュースの対象ではないからです。
むしろ、都知事は一種の「機関」と考えて都民が新都知事に世論の圧力をかけて、きちんとした社会政策を取らせたほうがいいと思います。特に重要なのが、東京でも深刻になっている貧困対策です。今から100年前、経済学者の河上肇が『貧乏物語』という本を出版し、ベストセラーになりました。そこで河上は、
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私は、金持ちの賛沢廃止を貧乏退治の第一策と考えています。
しかし、たとえ金持ちが自ら進んで質素な暮らしをするようにならなくても、もし何らかの方法で、一方で金持ちがますます豊かになる勢いを抑え、他方で貧乏人(金持ちに比較していう貧乏人)の地位を次第に向上させ、貧富の格差がひどいのを直し、人びとの所得が比較的平等に近づくようにできるならば、その方法だけでも、貧乏退治の目的を達成することはできるでしょう。
(『貧乏物語 現代語訳』132頁)
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と強調します。
次の知事に筆者が期待するのは、貧困撲滅です。東京都は、カネが潤沢にある地方自治体です。また、アベノミクスで裨益しているのは東京です。このような豊かな都市に、深刻な貧困問題が存在していることを筆者は一人の都民として、恥ずかしく思います。次の知事が誰になっても、貧困対策、特に子どもの貧困の解消のために汗をかいてほしいと思います。
【今回の教訓】
私が次の都知事に期待するのは貧困撲滅です
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【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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