“ステロイド疑惑”についに司法のメス――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第145回
起訴から5日後の11月23日、ビンスはニューヨーク州ブルックリンで開かれた予審(罪状認否)で4つの起訴事実を全面的に否認し、無罪を主張。連邦地方裁判所に25万ドルの保釈金を支払い、同日、釈放された。ジェイコブ・ミシュラー裁判官は1994年5月2日(その後、同年7月に変更)の公判開廷をアナウンスし、結果的にビンスは裁判開始まで6カ月間の“準備期間”を手に入れた。
WWEサイドもジェリー・マクデビット顧問弁護士による公式見解をただちにリリースし、ビンス自身も「検察側はザホリアン医師が犯した犯罪の責任を私に押しつけようとしている。事実無根」とコメント。起訴直前に『ボストン・ヘラルド』紙に掲載されたインタビューでは「犯罪を犯したことはいちどもない」と強気の姿勢を見せていたが、その後は「(ステロイドを)使ったことはあるし、友人にあげたこともある」となぜか発言内容がトーンダウンした。
1991年の“ステロイド裁判”で検察側はザホリアン医師とWWEの関係を示す証拠として、1988年3月から1989年10月のあいだにザホリアン医師からタイタン・スポーツ社宛に送付された宅配便の領収書を裁判所に提出した。
“なぞの小包”はハルク・ホーガン、ランディ・サベージらが宛て先のパッケージのほか、ビンスのフルネームが記載された重さ36ポンドのダンボール箱の存在も確認された。検察側はビンスにとっては想定外のある重要な“証人”を用意していた。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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