更新日:2022年08月07日 19:09
カーライフ

新型NSXは赤字覚悟!? GT-Rのフルモデルチェンジはもうない!? 和製スーパーカーがうまくいかない理由

 ところで、新型NSXが目指した世界の頂点ことフェラーリやポルシェは、やはり赤字なのか?

ランボルギーニ・ウラカン(2535万840円~)

右はフェラーリ458イタリア(新車当時2830万円)で、左は488GTB(3070万円)

 いいえ、大黒字です。利益率は10%を軽く超えておりまして、トヨタ以上なのです!  なぜホンダのNSX事業は赤字で、フェラーリやポルシェは大黒字なのか? フェラーリやポルシェなんてゼータク三昧に作ってるっぽいのに! 日本の自動車メーカーはコストダウンのノウハウにかけちゃ世界一のはずなのに!! そう思った諸君は、ボンクラながら鋭い。  それはですね、慣れてないからです。ホンダのような巨大な自動車メーカーは、大量生産によって利益を出すノウハウは豊富だが、少量生産で利益を出すノウハウはない。ホンダだけじゃなく、トヨタもメルセデスもGMも、大自動車メーカーはそんなノウハウを持ってない。  だから大メーカーは滅多にスーパーカーを作らない。作る場合はスーパーカーメーカーを買収したりする。アウディがランボルギーニを買収したように。  ホンダがNSXを25年間もモデルチェンジできなかったのも、採算が取れなかったからだ。モデルチェンジできないからノウハウも蓄積できないという循環なのである。新型NSXは、日本市場に割り当てられた最初の100台はとっくに売り切れ、現在すでに3年待ちと言われるが、それで黒字になるわけではない。  ということで総合すると、「赤字覚悟で新型NSXを開発したホンダはエライ!」と、手放しで称賛するわけにもいかない。なぜなら次のモデルチェンジはない、つまり事業の継続性がない可能性が高く、結果的に技術者の士気やブランド力向上の維持が難しいからだ。
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日産GT-Rはどうなのか
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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