白使インタビューPART1「観客を相手に闘っている」――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第204回(1995年編)
――日本とアメリカで、プロレスのちがいは感じますか?
「日本のプロレスとアメリカン・プロレスっていうんでしょうか。ほんとうはそうやって区別するのはいけないんでしょうけれど、はじめのうちはやっぱりそういう意識がありました。日本ではみちのくプロレスで1年半ほどやってきまして、ルチャリブレですよね。ですから、アメリカのプロレスといったら、これは別モノと思っていました。こちらへ来て最初の2カ月くらいですか、失敗ばかりして、もう頭を抱え込みました。
――それで、どうなったのですか?
「ふつう、日本のプロレスとアメリカのプロレスは全然ちがうものなんだぞ、という考え方が一般的ですよね」
――日本ではそういうふうに考えられていますね。
「わたしもはじめはそう思っていたんです。こっちに来たらアメリカのスタイルに合わせなければいけないんだ、というふうに考えていたんです。ところが、そうではないんですね。どういうことかというと、ちがうのは“お客さん”なんだということです。お客さんが全然ちがうんです」
――“お客さん”がちがう?
「勝手に出てきて、勝手に闘って、それでわーっとやって勝って、勝手に帰るという競技ではないですよね、プロレスは。お客さんを相手にして闘うものです。つねにお客さんの存在を意識してリングに立つ、というんですか。アメリカへ来て、その部分を改めて勉強しました。日本もアメリカもやっていることは同じ。プロレスはプロレスなんですが、お客さんがまったくちがうので、自然とスタイルというか見せ方が変わってくるんですね。ですから、プロレスそのものがちがうわけではないのです。それはこっちのリングで試合をしてみないとわからないことだとは思うのですが」
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