「僕らが何者でもなかったら、もっとTwitterに依存していた」朝井リョウ(小説家)×三浦大輔(劇作家)対談
――小説や演劇といった世界で活躍していなかったら、ご自身もTwitterにイタいことを書いていたかも……と思ったりしますか?
三浦:全然してたと思います(笑)。
朝井:僕もです。自己表現欲求は全員に等しくあって、それをどこで発露するかの違いだと思うので、小説という出口があってよかったです。
三浦:それこそ、自分が“何者”にもなれていなかったら、もっとTwitterに依存していたでしょうね。今でも、ツイートの送信ボタンを押す瞬間は「食らわしてやる!」みたいな気分になることがあります。
朝井:「かめはめ波!」みたいな?
三浦:そうそう。ツイートする瞬間の「言ってやったぜ」みたいなドヤ顔の高揚感はなんなんでしょうね。あのときの自分ほど醜いものはないなと思ってますから。朝井さんはそういうときないですか?
朝井:ちょっと違うかもしれませんが、小説は、執筆中は高揚していてもラストを書き終えた瞬間に全部ウソになってしまったような冷めた気分になることがあります。Twitterも同じで、140字しかないからいろんな言葉を削ぎ落とすじゃないですか。そうして選んで残った言葉に自分の本質が表れていると思うと、途端にウソくさいような恥ずかしいような気持ちになりますね。『何者』は、そんなTwitterのウソ臭さと就活の面接が似ているなと思って書いたんですよ。
※このインタビューは10/18発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【朝井リョウ】
’89年、岐阜県生まれ。早大在学中の’09年に『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を、’13年に『何者』で直木賞を受賞。2作は映画化されたほか、『チア男子!!』はアニメ化、『武道館』はドラマ化もされた。『何者』のアナザーストーリー『何様』が発売中
【三浦大輔】
’75年、北海道生まれ。演劇ユニット「ポツドール」を主宰し、センセーショナルな作風が話題に。’06年に『愛の渦』で岸田國士戯曲賞を受賞し、近年は海外の公演依頼も多い。’10年に『ボーイズ・オン・ザ・ラン』、’14年に『愛の渦』で映画の監督・脚本も務めた
取材・文/福田フクスケ 撮影/菊竹 規
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