エンタメ

話題のドールモデル・橋本ルルが早大の人気講義に降臨。人間なの?人形なの?

 玉城ティナ、蒼波純、金子理江らを輩出した異色のアイドル・オーディション「ミスiD」が、今年もエントリーを募集中だが、昨年度に「ぼっちが、世界を変える。賞」を受賞し、“人間なのか、人形なのか”と物議を醸したのが、ドールファッションモデルの橋本ルルだ。
橋本ルル01

ドールファッションモデル・橋本ルル

 ドールフェイスの着ぐるみで頭部を覆い、球体関節人形を模したタイツを手足に着用したその姿は、まるで生きるフランス人形のよう。神秘的だが、ちょっと不気味さも漂わせる。  おじさんからすると、ゴスロリやブライス人形に傾倒するサブカル女子がいかにも好みそうだな…という感想しか抱かないかもしれない。だが、橋本ルルに憧れ、「私も人形のようになりたい」と願う女子は少なくないらしい。その乙女心、一体どんなものなのか、ぜひ知りたいではないか。  すると、橋本ルルが早稲田大学の講義にゲスト講師として登壇するという情報をキャッチ。さっそく潜入してみた。

着ぐるみの「中の人」を公言する新しいスタイル

 訪れたのは、「あらゆる人形を通じて“我々”について考える」のがねらいだという「人形メディア学」を標榜する菊地浩平先生の講義。いきなりトリッキーな学問の登場に理解が追いつかないが、実はこの菊地先生の授業、早大の学生たちによる授業評価で、2年連続「面白い講義第一位」にランクインしているほど超人気なのだ(早大のサークル「マイルストーン編集会」の独自アンケート調査による)。  これまでの講義タイトルも、「ぬいぐるみは捨てなければならないのか」「リカちゃんはなぜ太らないのか」「ふなっしーVSガチャピン」「人形ホラーとしてのアンパンマン」など、気になるラインナップばかり。なんだか面白そうだ。  講義は最初、橋本ルルのプロデューサーを務める、ファッションデザイナーのhitomi komaki氏が登壇し、自己紹介するところから始まった。
橋本ルル02

ファッションデザイナーのhitomi komaki氏

 彼女いわく、橋本ルルのコンセプトは「誰でも可愛くなれる」。従来のメイクやファッションでは、「生まれ持った自分」を超えることはできないが、これからは「誰もがなりたい自分になれる」時代だという。これまでの着ぐるみの役割が、自分ではないキャラクターになりきる《変身》だとすれば、橋本ルルは、あくまでメイクやファッションの延長線上にある《自己の拡張》を目指しているそうだ。  続く菊地先生とのディスカッションでは、橋本ルルのイメージが、山田悠介の原作小説を漫画化した『親指さがし』に出てくる箕輪スズという美少女を参照していることや、目の造形がチベット仏教の“ブッダアイ”をモチーフにしていることなど、その創作秘話が明かされていく。  中でも興味深かったのは、橋本ルルが、いわゆる「中の人」がいることを隠さず、率先して公言しながら活動していることだ。
橋本ルル03

早稲田大学非常勤講師の菊地浩平先生

菊地先生:例えば、舞浜にいるあの着ぐるみの中に人が入っていることを、茶化してネタにするようなノリって、もう古いと思うんです。「中の人」の存在をどんどん露呈させるスタイルで人気を博した「ふなっしー」を経験した我々にとって、そこはもうどうでもいい。橋本ルルがそれを気にしていないのは、非常に“ポスト・ふなっしー”的なあり方ですよね。  hitomi komaki氏も、「中の人」はバレリーナやファッションモデル、美少女着ぐるみのプロなど、その日の演出に一番合う人に頼んでいると語る。橋本ルルになる人は、今後もどんどん増えていくという。 菊地先生:「中の人」という言い方につきまとう、「お約束を暴いてやった」みたいなことを面白がる段階を卒業して、「中も人」というか、「中も私たち」みたいな感覚が新しい。「自分も橋本ルルかもしれない」というところに、このプロジェクトの可能性があると思います。
次のページ right-delta
“人間なのか、人形なのか”はどちらでもいい
1
2
3
テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート