竹原ピストルがオヤジのハートを鷲掴みする理由【コラム二スト木村和久】
竹原ピストルの原点は、年間200本以上にわたるライブ活動を7年間やって来たことです。そのライブ活動で出会った人々や体験がすべて曲に活かされ、強烈なメッセージとなっているのです。
「ドサ回り数え歌」では、ギターの弦が1本ずつ切れてゆくさまを、悲哀を込めて歌いあげます。
「ライブ活動中に、誰かオレを見つけてくれと、思っていました」と、当時の心情を語っています。そんな彼に目を付けたのは松本人志で、竹原は映画「さや侍」の托鉢僧役で出演しています。大事なラストシーンで詩を読み、歌い上げ、彼の圧倒的歌唱力と存在感が、世間に知られるようになりました。
松本人志曰く「そこそこ頑張ったオレをまだまだって焦らす凄さ。。。」と言わしめた竹原ピストル。彼は見出してくれた松本に「俺のアディダス~人としての志~」という、お礼の曲を書いてます。これがまたいいんだわ。
2人の関係に割って入って来たのが本木雅弘って書くと三角関係に見えますが、そんなことはないです。本木雅弘は、映画「永い言い訳」で竹原と競演します。内容は、交通事故で妻を失った家族の再生物語で、売れっ子作家役に本木雅弘、対照的なトラック運転手に竹原ピストルという設定です。本木と竹原は、バスツアーで同時に妻を失います。そこで2人は家庭を失った喪失感をカバーするために交流が始まり、本木が竹原の子供達の面倒をみて、絆を深め合うのです。
映画での存在感は圧倒的です。西川監督も「どこかで演技していると思うのですが、全く気づかない」と語ります。すでにそこに、妻を失ったトラック運転手が存在していたのです。今まで積み重ねて来た映画の役作りを根底からくつがえす存在感に、本木雅弘は竹原ピストルの熱心なファンとなったのです。
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