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運命の“サバイバー・シリーズ”――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第273回(1997年編)

 10.5PPV“イン・ユア・ハウス18/バッド・ブラッド”セントルイス大会で衝撃のデビューを果たしたアンダーテイカーの弟ケインは、この日、第4試合でマンカインド(ミック・フォーリー)とシングルマッチで対戦。十八番ツームストーン・パイルドライバーでフォール勝ちした。考えてみれば“怪奇派”ケインはほんとうに息の長いキャラクターなのだ。  第5試合にラインナップされたケン・シャムロック&アーメッド・ジョンソン&LOD(リージョン・オブ・ドゥーム=アニマル&ホーク)対NOD(ネイション・オブ・ドミネーション=ファルーク&ロッキー・メイビア&カマ&ディーロー・ブラウン)の4対4イリミネーション・マッチは、次世代スーパースターの誕生を予感させるスリリングな一戦だった。  最後の最後までリング内に生き残ったシャムロックとメイビアの“ラスト4分”のシングルマッチに観客の目は釘づけになった。メイビアはすでにこの時点で“ヒール開眼”し、ザ・ロックへの変身―大ブレイクは秒読み段階に入っていた。シャムロックはお得意のアンクルロックでメイビアからタップアウトを奪ったが、実況アナのジム・ロスはロックのことを「未来のチャンピオンがリングのなかにいる」と語った。  8.3“サマースラム”の再戦となった王者オーエン・ハート――10.5PPV“イン・ユア・ハウス18/バッド・ブラッド”で開催された王座決定トーナメント決勝でファルークを下してチャンピオンに返り咲き――対挑戦者“ストーンコールド”スティーブ・オースチンのインターコンチネンタル選手権は、4分4秒という比較的短いファイトタイムでストーンコールドが十八番スタナーでオーエンを一蹴。3カ月ぶりにIC王座奪回に成功した。  ケイ椎損傷にという大きなケガ-長期欠場から戦列復帰したばかりのストーンコールドはコンディション的にはまだ万全とはいえなかったが、モントリオールの観客はストーンコールドをスタンディング・オベーションで出迎え、カナダ人のオーエンにブーイングを浴びせた。ストーンコールドがWWEの新しい主役であることはだれの目にも明らかだった。
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この日の午後、ビンスとブレットはこんな会話を交わした
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