大長編ドラマ『アンダーテイカーとケイン』――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第298回(1998年編)
大長編ドラマのテーマはいわゆる“骨肉の争い”である。兄弟だから仲がいいときもあれば仲が悪いときもある。ケインの出現からはじまる“第1章”は弟ケインがなりふりかまわず兄アンダーテイカーを追い求めていくストーリーで、そのあとのチャプターには予想どおり兄弟の和解シーンが用意されていた。
ポスト“サマースラム98”の新シーズンは、ビンス・マクマホンWWEオーナー&“悪の首脳部”対“ストーンコールド”スティーブ・オースチンの定番の政治ドラマにアンダーテイカーとケインが微妙にからんでいく展開になっていた。
ビンスが9月のPPV9.27“イン・ユア・ハウス/ブレイクダウン”のメインイベントとしてストーンコールド対アンダーテイカー対ケインのWWE世界戦“トリプル・スレット”をアナウンスすると、アンダーテイカーとケインはこれを拒否して“無言の共闘”。ベビーフェースでもヒールでもない独自の路線を歩みはじめた。
8.31“ロウ・イズ・ウォー”(コネティカット州ニューヘブン)では2時間ワクの生中継のなかでアンダーテイカー&ケインは合計6回、TVマッチに乱入して試合をぶち壊す“無差別テロ”をくり返し、パット・パターソン(WWE副社長=当時)、“ザ・ロック”ロッキー・メイビア、売り出し中の“AV男優”バル・ビーナス、タイガー・アリ・シン(タイガー・ジェット・シンの息子)らをチョークスラムで次つぎとキャンバスにたたきつけて格のちがいをみせつけた。
1997年からはじまった“アンダーテイカーとケインの物語”はエンディングが用意されていない大長編ドラマで、ケインが初めてマスクを脱いでその素顔を明らかにするのは衝撃のデビューから6年後の2003年6月のことだった。
アンダーテイカーは途中、ハーレー系のバイカー・キャラ“アメリカン・バッドアス”に路線変更したこともあったが、長期欠場をへて2004年に怪奇派に再変身した。
アンダーテイカーもケインもじつは“大卒レスラー”だということはあまり知られていない。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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