更新日:2022年08月23日 11:42
デジタル

桐島ローランドが写真家に留まらない理由とは? キーワードは「デジタル・ディスラプション」

 1993年に72万部を超えた大ベストセラーの前書きにも、桐島と同じ視点のグランドキャニオンの描写がある。そして、こう続く。 「もし日本の観光地で事故が起きたら、どうなるだろうか。観光地の管理責任者は新聞やテレビで轟々たる非難を浴びるだろう。なぜ柵をつくらなかったのか。なぜ管理人を置かないのか。なぜ立札をたてないのか――。だから日本の公園管理当局は、前もってありとあらゆる事故防止策を講ずる。行動規制だ」  著者は当時、新生党を立ち上げる前の小沢一郎。『日本改造計画』の序文だ。小沢は同著で政治のリーダーシップ確立、地方分権、規制撤廃を訴え、究極の目標として個人の自立、すなわち民主主義の確立を掲げた。  幼くして自由の真の価値に触れた桐島が、2013年の参院選に出馬したのは当然だったのかもしれない。残念ながら落選したが、立候補はみんなの党からだった。政府の権限を最小限にとどめ、個の自立を促し、自由を尊重する――その考えは今も変わらないようだ。 「僕はファッションの世界の人間だったので、立候補してかなりディスられましたよ。日本って不思議ですよね。政治に挑戦したのは、日本ってもっといい国になれるのに、もったいないって思ったから。何より好きな国だし、嫌いだったらどうでもいい。みんながハッピーになれる方法があると思っているから、余計なお世話かもしれないけど何かしたい。あの参院選では、山本太郎さんが当選し、共産党が躍進したけど、その一方でその20倍の自民党議員が誕生した。あれ以来、国会のバランスはひどく偏り、今に至っている……。自民党の議員にしても、選挙区で勝った議員ならまだしも、比例で当選した議員なんてまともに選挙運動もしない組織議員。既得権の塊ですよ」  VR事業が軌道に乗り始めたという桐島だが、すでに次の挑戦を考えているという。キーワードはデジタル・ディスラプション。デジタル技術による、創造的破壊のことだ。 「AirbnbやUberが典型ですが、ディスラプションは日本の強固な既得権益層を打ち破るカギになる。今の政府は予算だけでなく、政策も人材もムダが多いけど、なかなか変わらない。ならば、ディスラプションで新しい仕組みをつくればいい。まぁ、言うだけなら簡単だけど、行動に出ると苦労も多い。でも、新たに挑戦するなかで、サバイバルしていくのが僕のやり方なんです(苦笑)」  桐島が仕掛けるイノベ―ティブなチャレンジはいつ姿を見せるのか、楽しみだ。 ※週刊SPA!上杉隆連載「革命前夜のトリスタたち」より 上杉隆(うえすぎ・たかし)●ミドルメディアカンパニー「NO BORDER」代表取締役。メディア・アナリスト。一般社団法人「日本ゴルフ改革会議」事務局長。『偽悪者 ~トリックスターが日本を変える~』(扶桑社)、新著『誰が「都政」を殺したか?』(SBクリエイティブ)が好評発売中。「ニューズ・オプエド」が好評放送中!
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