更新日:2023年08月30日 17:17
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五輪汚職、捜査対象は政治家まで広がるか?舛添要一氏が「当時の内幕」を語る

五輪汚職が拡大している。捜査対象は「バッジ」(政治家)まで広がるのか? 五輪開催前に都知事を辞任した舛添要一氏をはじめ当時の関係者が重い口を開き始めた。

安倍元首相の突然の「死」が眠れる検察を目覚めさせた

五輪汚職

ジャーナリスト・上杉隆氏

 10月19日、東京地検特捜部は元東京五輪組織委員会理事・高橋治之容疑者の4度目の逮捕に踏み切った。高橋の勾留延長期限ギリギリとなったこの日、特捜は広告代理店ADKホールディングスの植野伸一社長ら3人を逮捕。これで五輪のスポンサー選定を巡る贈収賄事件で身柄を押さえられたのは総計12人となった。  世論の追い風を受け、検察内部では若手を中心に士気が高まっているという。裏を返せば、失態続きで自信を失っていた検察が、秋霜烈日のバッジに託されたプライドを取り戻しつつあるということだ。 「ああいうかたちで(’20年5月の麻雀賭博報道をきっかけに)職を追われたとはいえ、黒川さん(弘務・元東京高検検事長)の隠然たる影響力は残っており、若手のなかにはそんな検察のふがいなさに失望する声すらあった。やはり、安倍元首相の死がなければ、捜査がここまで至ることはなかったのではないか」

「落合さんの勇退までに、何とか『バッジ』(政治家)を取れれば……」

 こう検察内部の人間が自戒を込めて話すのには理由がある。安倍晋三元首相が銃弾に倒れた7月8日を境に、見えない重しが取り払われたかのように五輪汚職を巡る捜査が動き始めたからだ。  捜査が大きく進展したのは、検察人事が深く関係していると見て間違いない。今年6月末、検事総長に甲斐行夫氏が、東京高検検事長に落合義和氏がそれぞれ就任。1月の東京地検特捜部長に特別公判部長の市川宏氏を充てた人事と相まって、人事権を握る官邸から解き放たれたと強く印象づける組織刷新だった。 「落合さんの定年が来年初めに迫っており、それまでに捜査を仕上げなくては、という焦りもある。また、想定内ですが、高橋はまだオチていません。この先も勾留延長と再逮捕を繰り返すことはできるが、世論の風向きの変化は怖い。11月には次の『階段』に上がり、落合さんの勇退までに、何とか『バッジ』(政治家)を取れれば……」(前出・検察関係者)
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贈収賄の「スキーム」は’14年の時点でつくられた
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