ビンスの強権発動でWWE世界王座“空位”――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第302回(1998年編)
また、ビンスの息子でこの年の7月にWWE上級副社長(ニューメディア事業部)に昇進したシェーン・マクマホンも“ロウ”にレギュラー出演。父ビンスをボスとする“悪の首脳部”との不協和音―和解―亀裂―和解といったこまかいストーリーラインを積み上げ、連続ドラマの重要な登場人物としてのポジションをゲットしたのもこのころだった。
WWE世界王座をめぐる三つ巴の闘いを演じるストーンコールド、アンダーテイカー、ケインにつづくトップグループは“ザ・ロック”ロッキー・メイビア、マンカインド(ミック・フォーリー)、インターコンチネンタル王者ケン・シャムロック、ヨーロピアン王者Xパック(ショーン・ウォルトマン)といった顔ぶれ。
ニューエイジ・アウトローズ(“ロードドッグ”ジェシー・ジェームズ&ビリー・ガン)、オーエン・ハート、ベイダー、ゴールダスト、LOD(リージョン・オブ・ドゥーム=アニマル&ホーク)、ダン・スバーン、バル・ビーナスといった個性派が脇を固めた。
HHHというイニシャルがまだブランド化していなかったハンター・ハースト・ヘルムスリーは左ヒザの負傷で長期欠場していた。
“空位”となったWWE世界王座にいちばん近いところに急浮上してきたロックは、ストーンコールドと同様、“悪の首脳部”と大乱闘シーンを演じ、ビンスとの対立構造をアピール。ヒールでもベビーフェースでもないポジションでソロ活動をスタートさせたばかりのロックにはこの時点ですでに“ピープルズ・チャンピオン”というニックネームがつけられていた。
どうやら、大河ドラマの焦点はビンスとストーンコールドとロックの複雑にからみ合った人間関係に絞り込まれてきたようだった。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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