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ビンスが“モントリール事件”をセルフ・パロディ――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第300回(1998年編)

WWEオフィシャル・マガジン1998年3月号表紙

“アンダーテイカーの弟”ケインは、WWEが企画段階からPPVデビューまでに約1年の制作期間を費やして“開発”したオリジナル・キャラクターだった(写真はWWEオフィシャル・マガジン1998年3月号表紙より)

 “ストーンコールド”スティーブ・オースチンがビンス・マクマホンと“悪の首脳部”の陰謀によってまたしてもWWE世界ヘビー級王座から転落した――。

 タイトルマッチの試合結果というよりは連続ドラマのワンシーンのような形で王座移動劇が起きたのは9.27PPV“イン・ユア・ハウス/ブレイクダウン”(カナダ・オンタリオ州ハミルトン、コップス・コロシアム)。

 メインイベントにラインナップされたWWE世界選手権“トリプル・スレット”で挑戦者のアンダーテイカーとケインが王者ストーンコールドを同時フォールし、ストーンコールドは王座を失った。

 3選手が同時にリング内でぶつかり合う“トリプル・スレット”はストーンコールド対アンダーテイカー、ストーンコールド対ケイン、アンダーテイカー対ケインという3通りのシングルマッチの連立方程式になっていた。

 序盤戦はアンダーテイカーとケインがふたりがかりでストーンコールドに集中攻撃を加えるハンディキャップ・マッチ的な展開がつづいたが、後半戦ではアンダーテイカーがストーンコールドをフォールの体勢に持ちこむとケインがこれをカットしたり、ケインがストーンコールドを押さえ込むとこんどはアンダーテイカーがカットに入るというシーンが何度もみられた。

 ホラー・ストーリー『アンダーテイカーとケイン』のテーマはあくまでも“骨肉の争い”である。このふたりは和解―仲間割れ―和解―仲間割れをつねにくり返し、運命の再会から20年が経過した現在でもこの物語はつづいている。

 フィニッシュ・シーンは、兄アンダーテイカーと弟ケインによるダブル・チョークスラム。“墓掘り人ブラザース”がストーンコールドを同時にフォールし、リングアナウンサーのハワード・フィンケルが「新チャンピオン誕生!」をアナウンスしたが、アンダーテイカーとケインのどちらがチャンピオンになったかは明らかにされなかった。

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さらなる異常事態は試合終了のゴングから数分後に起きた

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