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セイコーの腕時計が「ちょっと惜しい!」理由 【腕時計投資家・斉藤由貴生】

技術力も世界中が注目するほど高いのに

 高級腕時計の種類は大きく3つに分けることができます。 ・マニュファクチュール(ロレックスなど) ・宝飾系ブランド(カルティエなど) ・時計専門ブランド(オメガなど)  高級腕時計で最も価値あるブランドとされるのがマニュファクチュールです。“マニュファクチュール”とは、時計にかかわるパーツを自社で生産しているブランドのこと。意外かもしれませんが、腕時計は他社の機械を使っていることが多いのです。機械だけを専門に扱うメーカーがあり、以前は多くのメーカーがその機械を採用していました。  とはいえ、時計を専門に扱うブランドなら他社製の機械を用いても立派な価値あるブランドと認識されており、それは全世界で共通です。  そして、日本の腕時計といえばまさにマニュファクチュールです。セイコー、シチズンはもちろん、オリエントだって自社製の機械を搭載しています。また、セイコーといえば世界で初めてクオーツの腕時計を製品化したことで、スイスにクオーツショックを与えたほどの存在。最近ではスプリングドライブという機械式とクオーツを融合させたムーブメントを開発し、だれも見たことのないモノを作っています。  シチズンもエコドライブサーモなど、“人の体温と空気の温度差で発電する腕時計”という凄いモノを発売したり、その技術力の高さは世界でも一目置かれているのです。

いまいち認知されていないのはブランド名にあり?

 これだけ技術力も高く、スイスでは作れないような独創的な腕時計を作っているのにもかかわらず、なぜ高級品の存在が微妙なのか。

セイコーHPより

 その答えは、ブランド名にあると思います。セイコーの高級品は「グランドセイコー」、シチズンの高級品は「ザ・シチズン」、オリエントの高級品は「ロイヤルオリエント」。どのメーカーも、高級品に自社の社名を付けることにこだわっているのです。  セイコーやシチズンは確かに有名なブランドですが、高級品という認識ではありません。そして、高級品にもその名前を付けているため、区別が曖昧になってしまっているのです。例えば、「1万円で売られているロレックス」、「40万円で売られているグランドロレックス」なるものがあったら、なんか変ですよね。  ということで日本のメーカーは、自社の高級ブランドの名前からテコ入れする必要があると思います。日本人はブランディングが下手なわけではなく、特に和菓子や果物などの食べ物、呉服など内需に特化したモノだと高級品づくりがとてもうまいと感じます。ですから、そのノウハウを是非、高級腕時計に活かして欲しいと思います。  また、スイスの高級ブランドを買収したりするのも1つの手でしょう。実際、スウォッチ・グループは、スウォッチという安価な商品がメインですが、ブレゲやオメガなど有名な高級ブランドを傘下に持っています。もしもオメガが「ロイヤルスウォッチ」だったら、だれも買いたいとは思わないでしょう。  最近、シチズンがフレデリックコンスタントというメーカーを買収しました。しかし、フレデリックコンスタントはマニュファクチュールとして技術力は高いものの、高級品としてのブランド力は高くありません。  日本の腕時計メーカーは高い技術力を持っているのですから、本気で高級品を作ればかなりすごいことになると思います。その一環として、ヨーロッパの高級ブランドを買収するなり、新しい高級ラインを展開するなりすれば良いと思うのです。高級品は単価がかなり高いですから、売れたら時価総額が上がると私は思っています。 1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある
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もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう





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