「東京五輪でサッカーを見た!」と言い張りたい人が狙うべきサッカー観戦の穴場
ブラインドサッカーというのは、その名の通り視力に難がある人たちでも楽しめるサッカーです。フィールドの広さはフットサルと同じタテ40メートル×ヨコ20メートル。ボールも同じ大きさ。ただし、目が見えなくてもプレーできるように、転がると音が出る特別なボールを使用しており、さらにフィールドの両サイドにはフェンスを設置してあります。これによってボールが転がるのを察知し、フェンスに当たったら跳ねかえる音でボールの場所がわかるという仕組みです。
1チーム5人で構成されるチームは、フィールドプレイヤー4人が完全に目隠しをした状態でプレーします。ゴールキーパーだけはバッチリ見える人がつとめることになっていますが、ゴールキーパーはゴール前の畳3枚ぶんほどのスペースに閉じ込められており、そこからハミ出してプレーすることはできません。なので「来た球を止める」のがお仕事となります。
そして、出場する5選手以外にもうひとり、相手方のゴール裏にコーラーと呼ばれるサポートメンバーがいます。この人はボールが迫ってきたときに、声で指示を出すのが仕事。自陣ゴール前ではゴールキーパーが指示を出し、フィールド中央ではベンチにいる監督が指示を出し、相手ゴール前ではコーラーが指示を出す、という仕組み。こうやって指示を頼りにプレーできるようになっているわけですね。
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とかくこうしたパラリンピック競技の観戦では「目が見えないのにスゴイ!」などの「○○ができないのにスゴイ」という視点になりがちなもの。
ただ、その視点にとらわれると「その試合面白いの?」という大事なことが抜け落ちてしまいがちです。
「(できないのに)スゴイ!」ではなく「(掛け値なしに)スゴイ!」というものがなければ、なかなか観戦の喜びは生まれません。
その観点において、僕はまず拍子抜けしました。ブラインドサッカーのプレー自体は、そんなにスゴクないのです。目が見えないけれど音とイメージで状況を察知する能力を身につけた超人が、目が見えるのと同等以上に華麗なプレーを見せる競技……だと夢があるのですが、現実はそんなに甘いものではなく、「見えないにしてはスゴイ」けれど「見えないことを勘定に入れなければスゴくはない」といったところ。
穴場と期待して訪れたブラインドサッカー。しかし、国内最高峰の大会でありながら、そのスゴさを実感できずに拍子抜けするばかり。しかし、次回、全くの別の視点からブラインドサッカーの魅力に気がつくことになるフモフモ編集長だった……
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