更新日:2022年08月28日 09:36
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眞子様の御婚約「女性宮家を創設して皇族を増やそう」が間違っているわけ【憲政史家・倉山満】

 問三 小室さんが准皇族となられた場合、小室さんの敬称は?  答三 殿下です。  女性宮の配偶者なのですから、「殿下」です。江戸時代の先例では、桂宮淑子内親王の婚約者は皇族の方でしたから、当然、敬称は「殿下」でした。  では民間人出身の小室さんは? 殿下で構いません。  皇室の先例では、民間人を殿下と呼んで構いません。日本人なら誰でも知っている有名人の先例があります。  単なる農民の子供の出身から殿下に成りあがった人物がいます。ここまで言えばわかるでしょう。豊臣秀吉です。晩年の秀吉は「太閤殿下」と呼ばれました。太閤とは元関白の意味です。天皇の代理人である摂政や関白の登った人は、殿下と呼ばれるならわしなのです。  だから、内親王の配偶者の方を殿下とお呼びしても何の差支えもありません。    問四 女性宮家を創設された場合、眞子様と小室さんの間に生まれたお子さんの身分は?  答四 民間人です。皇族にはなれません。  ここまで「先例」という言葉を繰り返してきました。皇室の歴史は、『古事記』『日本書紀』の神話にさかのぼります。初代天皇神武天皇の伝説にさかのぼれば、皇室は公称二千六百年の歴史を誇ります。なぜそれほど皇室は続いてきたのか。神話や伝説の時代から変わらぬ伝統を保持してきたからです。  だから皇室では、先例が吉、新儀は不吉なのです。なぜ? と言われても、そういう世界だからとしか言いようがありません。  そのもっとも重要な伝統は、歴代天皇はすべて父親をたどれば天皇に行きつきます。父親が天皇でなければ、その父親、さらに父親とたどりつけば必ず歴代天皇の誰かにたどりつく。これを男系と言いますが、歴代天皇はすべて男系です。天皇になる資格がある人を皇族と言いますが、二千六百年間、皇族全員が男系です。  女性の皇族も、全員が男系です。つまり父親が天皇・皇族です。しかし、民間人と結婚された女性皇族が、その子供を皇族にした例は一度もありません。  仮にですが、眞子様が女性宮家を創設され、小室さんとの間にお子様が生まれても、そのお子さんは皇族になれません。皇室の歴史では一度も許されてこなかったからです。絶対にやってはいけない新儀です。  御公務軽減のために女性宮家創設という意見ならば、「どうしてもやりたいなら」という消極的賛成はしても構いません。しかし、「女性宮家を創設して皇族を増やそう」というならば許されません。  皇族が減っていくままの今、皇位の安定継承は急務です。しかし、女性宮家の話は何の関係もありません。  ちなみに勘違いしていそうな人がこちら。 民進・蓮舫代表「国民の一人としてお喜び申し上げる」 女性宮家の議論「期限切り結論出すべき」(産経ニュース2017.5.16より) (以下引用)
蓮舫氏は、今後眞子さまが一般男性とのご結婚で皇籍を離脱する見通しを念頭に、「私たちは(天皇陛下の譲位に関する)議論のとりまとめで、女性宮家のあり方を早急に検討し、期限を切り結論を出すべきだと主張してきた」と述べた。

 くれぐれもご用心あれ。 【倉山満氏】 憲政史研究者。著者シリーズ累計35万部を突破したベストセラー『嘘だらけの日米近現代史』『嘘だらけの日中近現代史』『嘘だらけの日韓近現代史』『嘘だらけの日露近現代史』『嘘だらけの日英近現代史』『嘘だらけの日仏近現代史』のほか、待望の新刊『日本一やさしい天皇の講座』を6月2日に同時発売
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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