――わかったから、ちょっと落ち着け！ で、奥さんが出て行った話の続きを。 中本：去年の12月に、2人目を里帰り出産するからって、3歳の長男を連れて広島に帰っていったんですよ。で、そのまま帰ってこないんですよ！ ――凄い話ですね。 中本：正直「このまま別居だ」と言われても、まあ帰ってくるだろうと。そうしたら、「上の子の保育園が決まりました。こっち（広島）で育てます」って。 ――それ、帰ってこねえじゃん（笑）。 中本：何も面白れぇことないわ！ ――奥さんとは、どれくらいの付き合い？ 中本：付き合ってるころを入れれば、もう20年になります。向こうもタメの40歳。 ――冷静に考えれば、奥さんは売れない芸人を20年支え続けてきたってことですね。それで第一子は37歳のときに産んだことになる。37歳といえば高齢出産で、産める体としてもギリのとこだった。そして2番目も産めた。女として最高のものを手に入れた。それでその瞬間、中本は捨てられた。 中本：結局は切り捨てられたんスよ。 ――スペースシャトルが宇宙で、空になったエンジンを捨てるように。 中本：アハハハハハ！ ――笑ってる場合か！ 中本：僕みたいなアラフォーで売れてない芸人は、みんな嫁に逃げられてますよ。しかも子どもまでいる。女性は現実的ですから、養育費・学費はどうなるんだと心配する。「この先も売れないってことがわかっているのに、なぜ芸人を続けるのか？ 子どもと一緒にいたいなら、さっさと就職しろ」と、嫁からずっと言われ続けてましたよ。でもまさか、本当にいなくなるとは……。 ――奥さんからすれば、「芸人としての夢は応援したいけど、そろそろ限界」だと。でも中本さんと一緒に暮らしたかったから「就職してくれ」って言い続けたんじゃないの？ 中本：去年、就職しようと考えましたよ。2人目も生まれる、だからもう芸人を辞めようと。嫁は20歳から40歳までの20年間、俺に人生を捧げてくれた。じゃあ、残りの人生は嫁と子どもに捧げるべきなんじゃないかって。だから就職しようと。 ――おう、いいじゃないか！ 中本：親子4人で暮らすなら広島じゃないとムリだから、広島のハローワークに行ったんですよ。そこで突き付けられたのが、厳しい現実。学歴ナシ・資格ナシ・パソコンも触れない。そんな僕には、清掃の仕事しかないって言うんですよ。手取り15万だそうです。俺、いま東京で清掃のバイトやってて、広島戻っても清掃の仕事しかないんかい！ って。しかも東京では30万以上もらってますから、そんなん向こうに戻る必要なんてない、って思っちゃったんですよ。 ――それで東京に居残ることにしたんだ。 中本：だって手取り15万より、東京なら30万以上稼げるんだから。 ――でも話を聞いてると、奥さんが出て行ったというより、お前が説得を無視して東京に居残ったということじゃない？ 中本：ゴローさん、俺はよおお、芸人としてしか生きられないんだよ！ 芸人として売れたいんだよおおお!! ――それでも食らいつく覚悟があるんだな!? 中本：俺には、あるっ!! ――よく言った！ むちゃくちゃカッコイイ!! 中本：俺は天才なんだよっ!! ――ちょっと……いいかな？ お前まさか、浮気とかはしてないよね？ 中本：ゴロー、マジでそういう話はいいから……。 ――いや、まさかとは思うけど、一応確認。だってさあ、第二子誕生を機に子どもと3人で暮らす決意をした奥さん、それでも芸人の夢を諦めきれずにもがく夫。ちょっと話がキレイすぎない？ 中本：だからやめろや、ゴロー！ キレイな話のままで終わらせろや！ ――いや、嫁が出てった原因って、他にもあるんじゃないの？ お前、浮気しただろ？ 中本：してねえよ……。 ――お前、したんだな浮気？ 中本：浮気ぐらいするわ！ だから何なんだよ！ タレぐらいかくだろっ!! ――うっわ～、クズ～～～ッ（笑）。 （※次回、嫁が出ていった原因のひとつとも思われる浮気の核心に迫る!?） 【村橋ゴロー】 1972年生まれ。ほとんどの家事とまあまあの育児をこなす、ライター・コラムニスト。千原ジュニアや田村淳など芸人連載の構成を多数手掛ける。その一方、ママ向けサイトit mamaでは、「どの口が言ってるんだ」という感じだが、妊活や育児についてのコラムを執筆中。また、『ゴー！　ゴー!!　バカ画像MAX』シリーズ（KKベストセラーズ刊）は累計190万部を突破。近著に『俺たち妊活部「パパになりたい！」男たち101人の本音』（主婦の友社刊）がある。Twitterは、 @muragoro ＜取材・文／村橋ゴロー、撮影／藤井敦年＞