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「洞穴に籠もることしか興味がない」佐山サトルが求める“核心”とは【最強レスラー数珠つなぎvol.13】

――その後、団体内のトラブルもあり、新日本プロレスを退団されます。人気絶頂にあったタイガーマスクをあっさり捨てる形になりましたが、未練はありませんでしたか。

佐山:当時の心境としては、タイガーマスクより、格闘技のほうが大切でした。僕にとっては、メキシコにいてもイギリスにいても、18歳のときから示していたもののほうが大切だったんです。退団したときは、大海に出るような気持ちでしたね。クロレッツのコマーシャルで、金魚が水槽の中からぴょんと出て、大海に跳ねていくのがありますよね。ああいう心境です。これでようやく格闘技ができるんだ、と。

――選手を育てるためにタイガージムを経営しながらも、UWFに入団されたのはなぜですか。

佐山:逆十字で1本極まるというのも、お客さんはわからない時代なんですよ。アキレス腱固めで極まるというのも、分からない。それをみんなに宣伝していくためにあったのが、UWFですね。僕にとって。浦田(昇)さんという社長とは、「UWFをやりながら、新しいスポーツを作っていきましょう」という話をしていました。

――徐々にお客さんの目を、格闘技に慣らそうと試みた。

佐山:まったくその通りです。各格闘技の技術に、チキンウィング・アームロックとか、チキンウィング・フェイスロックとか、ピローアームロックとか、V1アームロックとか、そういう名前を付けていったんですね。お客さんに「これで極まるんだよ」というのを分かってもらいたかったんです。

 修斗をやっていて一番ショックだったのは、全部1本勝ちして1Rで決まったことがあるんですよ。僕は「今日はすごかったな」と言ったんですけど、帰っていくお客さんには「なんだ、早く終わってつまらねーな」と言われたんですね。そういう時代なんです。だから一刻も早く作り上げなければいけなかった。

――UWFのルールを作ったのは、佐山先生ですよね?

佐山:修斗のためのルールを作ったんです。それをプロレスに見せるために変えたのが、UWFのルールです。

――後に新生UWFで、前田日明さんはそのルールをそのまま採用しました。

佐山:修斗のルールとは別物なので、それを使おうとなにしようと、関係ないですね。修斗の選手たちは複雑な心境だったようですが。僕としては、あちらがスターダムにのし上がれば修斗も上がっていけるので、むしろ良いことじゃないかと思いました。ビデオが残っているんだから、いずれわかることだとは思ってましたけど。

――佐山先生が作ったルールを使用したことについて、前田さんは「佐山さんの許可をもらった」とおっしゃっています。本当ですか?

佐山:それは全然覚えてないです。僕にとってはどうでもいいことです。

――前田さんは『1984年のUWF』をきっかけに、“佐山批判”とも取れる発言をされていますが。

佐山:べつになにを言っても構わないです。ただ、「総合格闘技は自分が作った」というようなことを言われると、僕が認めてしまうとおかしくなるので、それは認めないだけの話ですね。なにを言おうと、ビデオが残っていますから。格闘技の世界はいま、目の肥えた人も出てきているので、見る人が見れば全部わかることだと思います。

――時代が佐山先生についてきたんですね。

佐山:僕にとって一番大切なのは、核心をつくことです。洞穴に入ることしか興味がないですね。できそうなんですよ、もうすぐ。なにかを得たいんですよね。釈迦が菩提樹の下で悟りを開いたように。

――修斗では理想とするものが実現しなかった?

佐山:そうですね。僕のイメージでは、相撲のような紳士的なスポーツだったんです。しかしそれらがすべて無視されて、町人拝金主義的なものになっていったというのが実情ですね。K-1が出てきてから、テレビの視聴率が大切だということになるんですけど、それが僕の理想ではないわけです。もっと精神的なものが加わったものを作りたかった。でもいま思うと、当時の自分には無理でしたね。

――佐山先生が代表を務めるリアルジャパンプロレスでは、“ストロングスタイルの復興”を掲げています。「現在の一部のプロレスに呆れている」とおっしゃいましたが、それでもストロングスタイルというものを守っていきたいですか。

佐山:そうですね。やるんだったら、僕らの時代を実現させたい。プライドのあるプロレスと言うんでしょうか。格闘技をやっていなければできないプロレスと言うんでしょうか。そういうものを再現させてあげたいですね。やっぱり、僕らはプライドを持っていましたから。「強さで世界で5番目に入る」とか言ってるんですからね。そんなことを言うくらいのプライドがあったんですね。

 この間、とあるテレビ局の人に「タイガーマスクは飛んだり跳ねたりしていた」と言われて、新間(寿)さんが「タイガーマスクは跳ねてんじゃねーよ!」って怒ったんですよ。ストロングスタイルという基本があって、あのようなスペクタクルな試合があるんだと。それくらいみんな、ストロングスタイルというものにプライドがあるんでしょうね。そういうのがあったから、当時の試合ができていたというのが本当のところだと思います。

――ストロングスタイルとは、どういうものでしょうか。

佐山:勝負とか、ガチンコの基本を大切にしているスタイルですね。「セメント」というのは、すべてのレスラーに毛嫌いされている言葉です。けど、新日本プロレスの根っこはそこなんですよ。それが新日本プロレスの強さだと思います。そこを引き継いでもらいたいなと思いますね。

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初代タイガーマスクが思う「強さ」とは?

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■初代タイガーマスク 佐山サトルプロデュース
リアルジャパンプロレス 初代タイガーマスク黄金伝説2017
『LEGEND OF THE GOLD Ⅷ』

http://seikenshinkageryu.la.coocan.jp/

【開催日】2017年9月14日(木)
【開場時間】17時30分
【開始時間】18時30分
【会場】後楽園ホール

【対戦カード】
<メインイベント レジェンド選手権試合 シングルマッチ 60分1本勝負>
[第12代王者]船木誠勝(第12代王者/フリー)VS[挑戦者]スーパー・タイガー(リアルジャパンプロレス)

<第5試合 シングルマッチ 30分1本勝負>
“大鵬三世”納谷幸男(デビュー戦/リアルジャパンプロレス)VS 雷神矢口(邪道軍)

※チケット:e+(イープラス)http://eplus.jp/tiger/(PC&携帯)
ファミリーマート店内Famiポート

■佐山女子会Twitter:@sayama_joshi





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