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「ドラゴンゲートはプロレスを利用した“娯楽”」唯一無二のパワーファイター・鷹木信悟の信念とは【最強レスラー数珠つなぎvol.11】

「最強レスラー数珠つなぎ」――毎回のインタビューの最後に、自分以外で最強だと思うレスラーを指名してもらい、次はそのレスラーにインタビューをする。プロレスとはなにか。強さとはなにか。この連載を通して探っていきたい。

 私がプロレスを見始めてまずやったことと言えば、各団体のTwitterアカウントをフォローすることだった。現在、ほとんどのプロレス団体がアカウントを持っている。プロレスの情報発信ツールとして、いまやTwitterは欠かせない。しかし主要団体で唯一、ドラゴンゲートだけはアカウントを持っていない。なぜなんだろうと不思議に思いつつ、その時点で「ドラゲーを観に行く」という選択肢がなくなってしまった。

 初めて試合を観戦したのは、それから1年が経った頃だった。衝撃的だった。他の団体とは、“速度”が全然違う。選手の動きも速いし、試合展開も速い。当時の私は、「じっくりとしたレスリングで魅せるのが正しいプロレス」という凝り固まった考え方をしていた。だから初めて目にする、華やかでスピーディーなプロレスに戸惑った。猛烈に惹きつけられながらも、まるで禁断の恋であるかのように「好きになってはいけない……」と気持ちに蓋をした。またもや、ドラゴンゲートと距離を置くこととなった。

 今回のインタビューにあたり、1年半ぶりに後楽園ホール大会に足を運んだ。バルコニーから見下ろすリングは、相変わらず煌びやかでまばゆい。そして若いレスラーたちの美しい顔……。鍛え上げられた肉体……。嗚呼、魅惑のドラゴンゲート!

 自分の気持ちに正直になろう。私はこの団体が好きだ。

 とりわけ、鷹木信悟というレスラーが好きだ。先日、小橋建太がトークイベントでこんなことを話していた。「鷹木選手はヘビー級でも、他の団体の選手とは一味違う。ドラゴンゲートの中で戦っているだけあって、スピードがあり、見せ方が上手い」。

 ゴツい体つきのパワーファイターはどの団体にもいる。しかし鷹木が持つスピードと、ドラゴンゲート特有の華やかさは、唯一無二と言えよう。もちろんパワーもある。レスリングも巧い。そしてインタビューを通して浮かび上がってきた、思想の深さ、志の高さ――。さらには“俺様”っぷりにも、乙女心をくすぐられて仕方ない。私がプロレスラーに求めていたものを、この人は全て持っているような気さえした。

【vol.11 鷹木信悟】

――岡林裕二選手から“最強レスラー”に指名されて、いかがですか。

鷹木信悟(以下、鷹木):あんな規格外の化け物みたいなレスラーからね(笑)。光栄ですよ。岡林選手は歳が一緒なんでね。昭和57年生まれのレスラーとして、意識する存在かな。

――同級生というのは意識するものですか。

鷹木:意識するね。57年会という会で集まったりもしていて、「俺たちの代でプロレス界を盛り上げよう」という話をしてる。俺と内藤哲也と飯伏幸太の3人でスタートしたんだけど、あの2人は時間通りに来ない、ドタキャンする、最近に至っては出席すらしない(笑)。それでいろんな団体の人に声を掛けてメンバーが増えた感じかな。

――岡林選手は鷹木選手のことを、「メンタルの部分で、めちゃめちゃ強い人なんじゃないか」とおっしゃいました。

鷹木:目に見える強さが分からないんじゃない(笑)? まあ、この間、大日本プロレスに出場したときに初めてタッグを組んで、岡林選手も感じるものがあったんじゃないかな。ドラゴンゲートは試合数がたぶん日本で一番多いから。

――年間200試合くらい?

鷹木:200やってる奴もいるけど、俺は170くらい。様々な人の前でプロレスをやっている中で、神経を尖らせているというか、全方位に神経を張り巡らせているというか。リングに上がると正面がどこかとか、お客さんはどこが沸きやすいかとか、どう反応するかっていうのを無意識にやってる。そういった意味で、岡林選手にはプロレスの深さを味わってもらったっていうかね。フフフ。

⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1341341

鷹木:メンタルの強さに繋がるのか分からないけど、生まれ持った体格が180cm以上あるわけでもないし、100kgあるわけでもない。それでもヘビー級の選手と当たっていくには、やっぱり頭を使わなければいけない。バカみたいに真っ向勝負しても敵わないから、見せ方を変えたり、戦い方を変えたり。そういう中で存在感を出せたらなと。

――頭を使うというのは、どういったところで?

鷹木:プロレスってどうしても、攻めてる方が「あいつすげーな」って思われるけど、技を食らっていても俺が中心に見えるようには意識してる。天龍源一郎さんに言われて心に残っているのは、「タッチして控えていたりリングの下にいるときも、ファンは細かく見てるから、常に気を張らしておけ。エントランスから出たら、歩き方、表情。全部、技だと思え」ということだね。

――ドラゴンゲートはTwitterのアカウントを持っている選手が少ないですよね。団体のアカウントもない。

鷹木:拡散が速いわけだし、みんなやればいいのにと思うけど、そこまでの欲がないのかな。俺は30過ぎたとき、「やべえ、30代のうちに鷹木信悟という存在を世間に広めていかないと」と思ってやり始めた。いまが自分の全盛期なわけだから、1年1年を大事に、悔いなくやりたいなと。失敗も成功も関係なく、いろんなことにトライしようとは思ってる。他団体のオファーも、日程が合えば受けたいし。

――ドラゴンゲートは他団体に出場する人が少ない中、鷹木選手は積極的に出場しています。

鷹木:あんまり興味がない選手が多いんじゃないかな。とくに俺らの後輩なんかは、ドラゴンゲートしか見ないで入ってきた奴が多いと思うし。逆に俺は、ドラゴンゲートを見ないでプロレスラーになろうと思ったから。高校を卒業して3年間、アニマル浜口さんのところで修行した後、いろんな団体を見ていく中で、たまたま当時、闘龍門だったドラゴンゲートがすごく魅力的に感じたんだよ。

鷹木:ただ、ドラゴンゲートに入りたくてプロレスラーを目指したわけじゃないから、その辺が他の選手とはちょっと感覚が違う。ドラゴンゲートを盛り上げたいという気持ちがないわけではないけど、どちらかと言うと、プロレス界を盛り上げたい。うちだけが流行っていればいいとか、そういう感覚じゃなくて、もっとプロレスっていうワードを世間に流行らせたい。

――他団体に出場することに関して、会社からなにか言われたりしますか。

鷹木:とくに言われないな。「本人がやりたいなら勝手にやれば」みたいな感じだと思う。他団体に行くと、ファイトスタイルも違うし、客層も違うから、そういった中で研ぎ澄まされる。普段ドラゴンゲートだと、俺より小さい奴を相手するから、ある程度なんでも出来る。それがデカい相手になると、頭を使うし体力も使うから、それが面白い。アドレナリンが出て、いつも以上の鷹木信悟が出る。もちろん攻め込まれるからヤバいなとは思うけど、そういう危機的状況になるから120%の自分が出せるんじゃないかな。

――他団体で、一番印象に残っている試合は?

鷹木:試合中に「ああ、完敗だ」と思ったのは、ZERO1の靖国大会に出たときの田中将斗戦。試合の後半、全ての技を畳みかけたときに、田中将斗の方が余裕があるなと思った。試合に負ける前に、勝負に負けたというかね。プロレスって不思議なもので、試合の勝者もいるけど勝負の勝者もいる。試合に負けた奴が主役になったり、負けた奴が光ったりする唯一の競技なんだよね。

――ドラゴンゲートはもの凄く人気があるのに、全国的なメディア露出をあまりされていません。戦略的なものですか。

鷹木:会社の上層部じゃないから具体的なことは分からないけど、おそらくライブのお客を大事にしようというのが一番なんじゃないかな。個人的にはいろんなところに拡散させたいから、テレビはすごく意識するところだけど。神戸の団体ということもあって、東京のようにメディアの露出というのがちょっと難しいのかもしれない。

鷹木:俺自身は、山梨県出身で、やまなし大使として活動していて。5月14日に地元凱旋があったんだけど、その大会が7月に地上波のゴールデンタイムで流れる。全国じゃないけど、まずは県内で自分の価値を上げようっていうかね。プロレスをゴールデンで放送すること自体が、プロレス界の一つの事件だと思うし。それを地元で出来るというのは、一つ夢を叶えられたかなと。

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プロレスに目覚めたのはいつ頃?

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■Fortune Dream 4
http://www.fortune-kk.com/pages/20170614.htm
【開催日】2017年6月14日(水)
【開場時間】17時30分
【開始時間】18時30分
【会場】後楽園ホール

■KOBE プロレスフェスティバル2017
http://www.gaora.co.jp/dragongate/release/tour.html
【開催日】2017年7月23日(日)
【開場時間】13時30分(予定)
【開始時間】15時00分
【会場】神戸ワールド記念ホール




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