更新日:2022年08月28日 09:27
スポーツ

「ストロングBJと新日本のストロングスタイルは別物」大日本プロレス・岡林裕二の野望【最強レスラー数珠つなぎvol.10】

「最強レスラー数珠つなぎ」――毎回のインタビューの最後に、自分以外で最強だと思うレスラーを指名してもらい、次はそのレスラーにインタビューをする。プロレスとはなにか。強さとはなにか。この連載を通して探っていきたい。 「プロレスラーになれば、少しは心が強くなるんじゃないかと思った」  中邑真輔は私にそう話してくれた。幼い頃から打たれ弱く、高校時代、アマチュアレスリングの試合前に吐いたりもしたという。WWEの一軍に昇格し、世界の「シンスケ・ナカムラ」となったいま、彼の心は強くなったのだろうか。時折、ふと思いを馳せる自分がいる。  プロレスを見始めて間もなく、中邑を取材した。私は彼の思想に共感し、憧れ、格闘技のジムに通い始めた。彼が絵を描くと知って、絵画教室に通い始めた。またいつか取材をするときのために、英語を勉強し直した。それが連載になったりもした。私にとって、プロレスはイコール、中邑真輔だった。しかし、あるときから、そうではなくなった。関本大介と岡林裕二のタッグマッチを観たときからだ。  強い! 強い! 笑っちゃうほど、強い!  強さとはなにか、私にはまだ分からない。でもこの2人は紛れもなく強い。だれが見ても強い。テクニックがどう、パワーがどう、という問題ではない。オーラが強い。試合に勝っても負けても、この2人しか目に映らない。そのときから私の中に、「中邑真輔以外にもプロレスがある」という選択肢が生まれた。それからいろいろな団体を見るようになった。  関本と岡林がいなければ、私は今頃、中邑を追いかけてアメリカに移住し、この連載を書くこともなかっただろう。2人の記事をこうして続けて書くことができて、心からホッとしている。 【vol.10 岡林裕二】 ――関本大介選手のご指名です。曰く、「すべてが最強。生きている姿を見ているだけで最強」と。 岡林裕二(以下、岡林):嬉しいですね。正直、びっくりしましたけど。「ええ! 俺かあ!」みたいな。関本さんは、僕がプロレスラーになるきっかけとなった人です。デビューしてから、あの人を追い越してやろうという気持ちでずっとやってきました。 ――関本選手も絶賛するパワーをお持ちですが、子供の頃から力が強かったんですか。 岡林:高知県南国市の下末松というところで生まれまして、3人兄弟の末っ子で、家は魚屋です。親父はサッカー、お袋はやり投げをやっていたんですけど、2人とも力が強くて、腕相撲とかでも負けたことがない。お袋も、普通の男性に絶対負けなかったらしいです。そういうので、遺伝じゃないかと言われていました。僕が2歳のときに、魚屋で果物も売っていて、ミカンの箱が店の外にあったんですよ。親父が運んでくるのを手伝おうと思ったんでしょうね。ミカンが満タンに入っている箱を持って、店の中まで運んだらしいです(笑)。 ――2歳で? それは怪力ですね。 岡林:そういうのもあったし、いろいろ悪いことをしましたね。田舎なので、田んぼがいっぱいあるんです。田んぼって、せき板で止まるじゃないですか。水が流れないようにせきで止めるんですよね。そのせきを抜いちゃって(笑)。水が勢いよく流れるのが楽しかったんです。小学校2年くらいのときかな。2回目くらいで見つかって、めちゃめちゃ怒られました。田んぼを所有している人に、「こんなことをしたら米が全部ダメになる」と説明されて。米がダメになったら、お前ら米が食えんくなるぞと。謝りましたけど、その頃はあんまり考えてないですからね。次の日になったら忘れてますから。 ――悪いですね(笑)。 岡林:他にも小学校2年か3年のとき、新聞配達員に憧れて、俺も新聞配達をしようと思って、自分の自転車のかごに家の古新聞を全部詰めて、近所に配ってました。近所のおばさんは受け取ってくれるんですよ。「裕二くんえらいね、一人で新聞配達して。ありがとう」って。それで僕も調子に乗るんですよ。よっしゃ、頑張ろうと思って、1日に50軒くらい配りました。大迷惑ですよね(笑)。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1329874 岡林:あと、家にトイレのくみ取りが来るんですが、あの仕事にもすごい憧れて。それも小学校2年でしたね。週に1回くらい来るんですけど、仕事ぶりをずっと見てたんです。あるとき、おじさんに「今日学校休みか。おじちゃんと一緒に回るか」と言われて、バキュームカーに乗って近所を回ったことがあります。近所の人はみんなびっくりしていました。
次のページ right-delta
プロレスを好きになったのはいつ頃か
1
2
3
4
5
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko

記事一覧へ
■大日本プロレス・後楽園ホール大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1403

【開催日】2017年5月25日(木)
【開場時間】17時30分
【開始時間】18時30分
【会場】後楽園ホール

■「両極譚~RYOGOKUTAN~」両国国技館大会
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1332

【開催日】2017年7月17日(月)
【開場時間】13時30分
【開始時間】15時00分
【会場】両国国技館
おすすめ記事