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涼しい夜なのになぜか大量の寝汗が…原因は放置していた寝具の湿気【元ふとん屋が教えます】

 こんにちは、元ふとん屋の大野です。  この頃はすっかり秋らしくなりましたね。空気は爽やか、洗濯もずいぶん楽になりました。  ところが……実はこの時季から冬にかけて、寝汗についての相談が増えるんです。 布団 ふとんに入るまではサラッと快適なのに、朝起きるとシャツがじっとり濡れて気持ち悪い。寝苦しくて夜中に起きたら眠ったときと全然ちがうところに身体があった、など。  寝汗は睡眠の大敵です。湿った衣服が不快なせいで夜中に目覚めてしまう。ふとんが湿り、乾いた場所を求めて転がりだすので寝相が悪くなる。当然、服が湿れば風邪を引く恐れがありますし、女性ならばお肌への悪影響も見過ごせません。  それにしても季節は秋、どうして真夏の様な寝苦しさになってしまうのでしょう?  理由はハッキリしています。 「湿気」です。  ヒトの快適な睡眠環境は「気温33℃/湿度50%」とされています。  けど、涼しくなってくると誰でも少し暖かい掛けふとんを出そうとか思いますよね? 気温が下がりタオルケットでは33℃に足らなくなったので、何気なく分厚いものに切り替えたことでしょう。  皆さん寒さと暑さにはとても敏感なので、元ふとん屋として、そこは全然心配してません。  ところが、多くの人が湿気のことになると急に鈍感になるから不思議。涼しくなっても寝汗が引かないのは「掛けふとんが厚すぎるから」ではないんです。「湿度が50%を大きく超えてしまっているから」なんです。

材質によっては寝具の湿度は90%にも達する!

 では、睡眠を左右する湿気はどこに溜まっているのか?  原因となる“湿気の巣窟”は、以下の3か所です。 ・寝室そのもの ・接触寝具の中 ・敷き寝具の中  これらの場所に湿気が溜まり、湿度が65%を越えると、ムシムシとした寝苦しさを感じるようになります。なかでも接触寝具の湿度がいちばん寝汗に直結しているので、今回はこれに的をしぼって考えていきましょう。  接触寝具とは何かというと、肌に触れる寝具のこと。マットレスならベッドパッド、ふとんならパッドシーツ、上に掛けるタオルケットや羽毛ふとんなんかも接触寝具です。  で、この接触寝具……実はメチャクチャ湿ってます。  有名な話ですが、ヒトは眠っているときにコップ一杯以上の汗をかきます。そんなたっぷりの湿気を吸っては出して調整してくれているのが接触寝具です。  ところが使いっぱなしだと湿気は溜まるばっかりで出てってくれません。数日もすれば湿気に強いウールや羽毛でも湿度75%はザラ、コットンが中綿では湿度80%どころか90%にも達します。  湿度90%の世界といえば、食品はたちまち腐って虫が湧き、電子機器などは内部にカビが生えて故障してしまう環境です。  どんなに外の世界は爽やかでもそんな湿ったものに包まれて横になれば、そりゃ寝汗も止まらないし、ゴロゴロ寝返りも打ちまくりで眠りが浅くなりますよね。
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寝汗をかきたくなければ、とにかく干すべし!
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