三谷幸喜ら舞台出身監督になぜか愛される――女優・岸井ゆきの「女優をしていなかったら今でも皿洗いのバイトをしてた」
「家族って面倒くさい。たまに、連絡を忘れると、LINEの通知が30件くらい溜まってて(笑)。でも、そういうことを嬉しく思えるときもあるんです」
そう家族との思い出を語るのは、ドラマ『真田丸』『99.9-刑事専門弁護士-』などで注目を集める若手女優の岸井ゆきの。11月4日より公開される映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』で初主演を務める。
本作は、祖父の葬儀をきっかけに久しぶりに顔をそろえた家族が、一人ひとりの悩みや葛藤をぶつけ合いながらも“本当の家族”へと生まれ変わる姿を描くホームドラマだ。確かな演技で、着実にファンやクリエイターの支持を集めてきた岸井にとって、満を持しての初主演作。それにあたっての決意や、自身の家族について本人に聞いた――。
――本作の出演はオファーですか、それともオーディションでしたか。
岸井:声をかけていただきました。
――初めて聞いてどう思いました。驚きましたか?
岸井:そうですね……驚きました。実感がなかったというか、私が主演の映画っていうビジョンが自分でまったく見えなくて。本当に私に務まるのか不安でしたね、最初は。
――たとえば、冒頭で祖父の訃報が届くシーンでは、恋人との濡れ場の演技などもありますが、そういった演技に対して躊躇とかはありませんでした?
岸井:まったくなかったというと嘘になります。でも、私のところにきている時点で、その役は事務所がちゃんと私のことを考えたうえで、引き受けた役だと思いますし、そこは信じているので。
――森ガキ侑大監督は、CM・映像ディレクターとして「グラブル」、dマガジン、ソフトバンクなどの有名CMを手がけていますが、本作が長編映画デビュー。岸井さんも初主演ですが、そのあたりで何か話はされましたか?
岸井:お互いに「初主演、初監督だねぇ~」というよりは、むしろ私が森ガキさんに頼ってました。たくさんCMも撮られてますし。もう先輩って感じで。もし森ガキさん自身が初監督なことを意識していたとしても、そこはまったく出されていませんでしたね。一緒に作品を作っていれば大丈夫という安心感がありました。
――では、岸井さんは初主演することについては何か気負いとかありましたか?
岸井:最初は思っていたんです。でも、これは家族の話で、私が全部、背負うというよりはたまたま物語の中心にはいるけど、家族一人ひとりにスポットが当たっていて。他に考えることもいっぱいありましたし、それよりも脚本に集中しようと。
◆「おじいちゃん、死んじゃったって。」は、11月4日より東京・テアトル新宿ほか全国でロードショー。
岩松了、美保純、岡山天音、水野美紀、光石研、小野花梨らが出演。現在開幕中の「第30回東京国際映画祭」の日本映画スプラッシュ部門に出品される
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ