ライフ

永江朗・いとうせいこうのトークイベント「本から読み解く近代史」が泣けた<ライター・山田ゴメス>

永江朗・いとうせいこうのトークイベント で、肝心のトーク内容なんだが、明治時代のベストセラー『学問のすゝめ』(福沢諭吉著)が出版されて145年が経った今、これまでに出版された本を振り返りながら、日本の近代史と、当時の人々の思想や文化、それらの本が読まれた背景について紹介することを主旨としており、明治維新を境として、あっという間に「立たない(平積みしかできない)」「背表紙が見えない」和綴じの本がなくなった経緯などを筆頭に、随所随所に「なるほどなぁ~」と思わず納得させられてしまうウンチクが盛り込まれていた。  たとえば、哲学者・柄谷行人氏の言である「“出世”という概念がなくなりつつある」ことによる現代文学への影響。「出世から落ちこぼれた人物を描くのが西洋的思想の色濃い近代文学の“定番”だったゆえ、出世に対する執心が希薄になった昨今、文学の本質が大きく変わろうとしている」……といった分析は、見事としか称えようがなく、あと、「樋口一葉も貧乏が過ぎてアルバイトをしていた。小説家が専業である必要はない」といったエピソードには、雑文でその日暮らし的な糧を得るゴメス記者も大いに勇気づけられたものだ。  そして、お客さまの質問に答えるかたちで、お二人が最後の〆として語った「出版(界)が守るべきもの」をテーマとするコメントが、また泣かせてくださる! 「出版とは本来いかがわしいもの、コソコソと読むもの。源氏物語はポルノ。そんなマイナー感を失わないで欲しい」(いとうせいこう氏) 「本とは、ある意味“歌”とも解釈できる。要は人が考えてなにかを伝えること。手段は(紙でもネットでも歌でも絵でも)なんでもOKだけど、“伝えよう”という気持ちだけは残さなければならない」(永江朗氏)  文筆家の端くれとして、初心へと返り、襟を正すきっかけを与えてもらえた、すごく有意義な一日でした。永江さん、(勝手に)一生ついていきます! 【山田ゴメス】 山田ゴメス1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。著書『クレヨンしんちゃん たのしいお仕事図鑑』(双葉社)1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。脳神経外科医の菅原道仁先生との共著『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)、ツイッターアカウント@gomes12081
1
2





おすすめ記事