人間の心は私たちが思っているよりも、深く根を張っています。もしものことが起こらないように、何重にも安全装置がかけられています。たとえば誰だって「生きているのに疲れたな」と思う夜があります。でも、だからといってすぐに首を吊ったりはしません。思ったことをすぐに実現させるのは危険だと、私たちの心が理解しているからです。 　ですから、もしお金が欲しいならば、お金が増えたときのことよく考えておきましょう。「でも、こういう面倒が起きたら嫌だな」と心のどこかで思っていたりすると、それがブレーキになって、必要な行動を起こせません。私たちは幼い頃から「お金は汚いもの」と聞かされて育っています。この信念を取り除くには、根気よく考え続けなくてはなりません。この過程を踏まないと、お金を稼ごうと頑張ろうとしても、ブレーカーが落ちるようにモチベーションが途切れてしまいます。 　こうした心の動きを踏まえながら、成功者や億万長者の書いた本などを読むと、その奥深さがわかるようになります。彼らの行動を表面的に追いかけても、吸収できることはわずかです。だからこそ自己啓発では「マインド」についてよく言及します。とはいえその効果も、読者が自分自身の心をどれたけ見つめ直すかによって、結果が変わってきます。 　お金を使うにあたって特に大切なのは「自分のためではなく、他人のために使う」ことです。人間が自分の幸福のために使える金額は限られています。それでもなお贅沢を続けるようとするから、かえって辛くなるのです。所得が高くても幸せな人は、どこかで自分の幸せから誰かの幸せに転換し、社会貢献について考えるようになります。 　金は天下の回りものと言います。高級マンションに住んで、高級車に乗って、高級ブランドを買って、高級レストランに通って、という贅沢ももちろんいいですが、それと平行して寄付、後進の育成、自分の仕事のスキルアップなど、「世のため、人のため」になる使い方も考えてみて下さい。 【佐々木】 コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」 コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』（扶桑社）が発売中